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更新日:2011年4月1日

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自然探訪2011年4月 アセビ

アセビ

アセビはツツジ科の常緑の低木で高さ4〜5メートルになります。山形県・宮城県以南の山地の比較的日当たりのよいところに自生しています。

アセビは漢字で「馬酔木」と書き、字が表すようにアセボトキシン(アルカロイドの一種)などの有毒物質を含みます。このアセビの有毒成分はかつて殺虫剤にも利用されていたことがあるそうです。そのため、動物はあまり食べません。近年日本では鹿が大幅に増え、山林の草木を食べる被害が問題になっています。鹿の被害が大きいところでもアセビだけは食べられずに残っていたりします。しかし、鹿があまりに多すぎて食べる草木がほとんどなくなってくると、まさしく「毒を飲む」覚悟でか、アセビすらも食べたという報告も聞かれます。
アセビは早春の3〜5月ころにスズランのような白い壺型の花を多数咲かせます。その花が秋に5〜6mm程度の扁球形の蒴果(成熟すると複数室に分かれて種子をつくる果実のこと)となり、やがて5裂して小さな種子が出てきます。花は下向きにつきますが、蒴果は上向きにつきます。花が終わる夏に次の年の花のつぼみをつけ始めます。ピンク色の花をつけるアケボノアセビのような園芸品種もあり、庭木としても植えられています。その花の可憐さがいにしえの歌人の心をとらえたようで、万葉集にもアセビを詠んだ歌が十首みられます。

「磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど 見すべき君がありと云はなくに」 

これは大伯皇女(天武天皇の皇女)が詠んだ歌で、政争により亡くなった弟の哀しみを表しています。しかし、アセビはどちらかというと明るいイメージで詠まれることが多く、アセビの花に恋心を託した歌や、単純にその美しさを詠んだ歌などもあります。昔はアシビと呼んでいたそうです。
アセビには「純真な心」、「犠牲」という相反するような花言葉があるそうです。可憐な花とそのイメージからかけ離れた有毒成分からきているものなのでしょうか。いずれにしろ、独特の漢字や可憐な花などの特色ゆえ現代の人々にも比較的なじみのある樹木ではないでしょうか。

写真1 森林総合研究所樹木園のアセビ
写真1 森林総合研究所樹木園のアセビ

写真2 アセビの花
写真2 アセビの花

写真3 5裂したあとの蒴果
写真3 5裂したあとの蒴果

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