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更新日:2012年1月4日

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自然探訪2012年1月 カンボジアの土壌

カンボジアの土壌

熱帯地域の森林には日本の森林では見られない様々な土壌が分布しています。
インドシナ半島の南端に位置するカンボジアは明瞭な雨季と乾季をもつ地域です。1年間の降水量は1000mm~2000mm、山地などでは3000mmを優に超すところもありますが、11月頃~翌年の4月頃までは乾季で、雨が全く降らない期間がひと月以上続くこともあります。この地域では、乾季に落葉する落葉林が広く生育しています(写真1)。これら落葉林の土壌の多くは、地表から比較的浅いところに極めて堅い層をもつ土壌で、土層が薄くなっています(写真2)。このような土壌では土壌中に貯えることのできる水分も少なく、乾季には植物が成長するための水分を供給できなくなってしまいます。
一方、年間を通じて樹冠に葉を茂らせている常緑林も生育しています。
常緑林が分布する地域の1つは国境に近い山地、丘陵地など年間の降水量が比較的多い地域です。このような地域では土層の厚い土壌が分布していて、樹木の成長に必要な水分と養分を提供しています。常緑林が分布するもう1つの地域は中央部の低地です。ここでは乾季に無降雨日が続くので、樹木が成長するために必要な水分が供給されないのではないかと考えられますが、実際には樹高50mにも及ぶような大木も生育しています(写真3)。インドシナ半島の他の地域では、平坦な低地にこのような立派な常緑林が生育していることはほとんど無いため、たいへん貴重な珍しい森林といえます。
実は、この地域にはとても厚い土層をもつ土壌が分布しているのです(写真4)。雨季の間に降った雨水をこの厚い土壌中にたくさん保持することによって、厳しい乾季の間も樹木に水分を供給することができるのです。また、中央部の低地には、そこを取り巻く丘陵地や山地から地下水が流れ下ってきます。地下水は雨季の間に降り注いだ雨が地下をゆっくり流れてくるので、乾季になっても低地には地下水が供給されているのです。この地下水が厚い土壌中に貯えられ乾季の間の樹木の成長を支えることに一役買っています。

雨季乾季を通じて樹冠に葉を繁茂させている常緑林は緑に包まれた荘厳な森林ですが、その地面の下には長い年月をかけて生成された厚い土壌があって、立派な森林をしっかりと支えているのです。

自然探訪1月写真1
写真1 雨季と乾季をもつ熱帯地域の落葉林 

 自然探訪1月写真2
写真2 落葉林地帯の土壌(レプトソル)
矢印の上が柔らかい土の層(地表から約30cm)、下は堅い土の層 

自然探訪1月写真3
写真3 カンボジア中央部低地の常緑林

自然探訪1月写真4
写真4 土層が厚い常緑林の土壌(アクリソル)

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