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更新日:2012年8月1日

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自然探訪2012年8月 ヒノキ林

ヒノキ林

ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)は日本における代表的造林樹種です。我が国の国土約3800万haの約7割、2500万haが森林で、その中の約4割、1000万haが人工林です。人工林の中ではスギが45%、ヒノキが25%となっています。ヒノキはその材の加工の容易さ、乾燥による狂いのなさ、耐久力の高さなどから最高級の建築材料といわれています。代表的なヒノキによる建築物である法隆寺は建立1300年以上となる今も健在です。
このように人工造林され利用されているヒノキですが、自然状態ではどのようなところで生育している樹木なのでしょうか?
少なくなった現在の天然生林の分布や人々が利用してきた歴史からみると、ヒノキ林は日本の暖温帯から冷温帯にかけて比較的積雪の少ない地域に広く分布していたと考えられています。暖温帯ではカシ類やツガなどに混じり、冷温帯ではブナやカンバ類などに混じって生育して、四国の石鎚山系では標高1800m付近でもみられるなど、ヒノキの生育できる環境はかなり広いようです。しかし、一緒に生育している広葉樹との競争に勝てないようで、ヒノキが優占するところは土の痩せた尾根やポドゾル化した酸性土壌、蛇紋岩など超塩基性岩を母岩とする土壌など他の樹種の成長が悪い場所に限られています。
四国西南部の市ノ又風景林は周辺が伐採された中に島状に残されている常緑広葉樹とヒノキ、ツガなど針葉樹が混交する天然林で、ヒノキは尾根筋に集中して生育しています(写真1)が、林内ではヒノキの芽生えはほとんど育っていません。高知県の白髪山(写真2)は超塩基性の母岩を持つ山体でそこでは純林状の天然生のヒノキ林がみられ、山頂付近では枯れたヒノキの白骨林の下で次世代のヒノキが密生しています。白髪山中腹では岩の上やヒノキ自身の根株上など薄い土壌で数代に渡り世代交代をしているヒノキの株がみられます(写真3)。
これまでに天然ヒノキの資源量は減少しており、貴重な森林の保護と育成が課題となっています。このような様々な姿をみせるヒノキ天然林から情報を得て森林施業に取り入れるべく、調査・研究を行なっています

写真1:市ノ又風景林、尾根にヒノキが集中し、斜面のカシ類を主とする常緑広葉樹と混交しています。
写真1: 市ノ又風景林、尾根にヒノキ(濃い緑色)が集中し、斜面のカシ類(開葉期で淡い茶系色)を主とする常緑広葉樹と混交しています。手前はヒノキ人工林

写真2:白髪山山頂付近のヒノキ白骨林 
写真2: 白髪山山頂付近のヒノキ白骨林 

写真3:白髪山ヒノキ林内の根株上更新の様子 
写真3: 白髪山ヒノキ林内の根株上更新の様子 

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