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更新日:2013年3月1日

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自然探訪2013年3月 チシマザサ

チシマザサ (Sasa kurilensis

ササが分布する面積は全国で約700万haといわれ、日本の森林面積の約30%にあたります。日本に存するササ類は70種前後とされていますが、その中でもチシマザサ(Sasa kurilensis)は最も高緯度、多雪地にまで分布します。稈(かん:茎)は高さ3m以上、基部直径2cmにもなる大型のササで、稈の上部で分枝を繰り返しながら10年以上残ります。

東北地方にはモウソウチクが少ないことから、稈が太いチシマザサの筍が食べられます。筍はタケやササの新芽が5〜6月頃地上に出現してから葉が展開するまでの当年生の稈を指します。林業施業地では伐採後林床が明るくなることによってササが繁茂します。チシマザサが繁茂した伐採地には、春になるとたくさんの人が訪れて筍を採取しますが、採取圧としては大したことはなくて、当年生稈の全てがなくなることはないようです。植栽後5、6年は育林補助作業における下刈り(抑制)作業によって林床植生の繁茂を押さえます。丈の低い植栽木をササや低木による被陰から保護するためです。ササの密度管理という点では、筍の採取よりは下刈りの方が効果的と言えますが、長期的・持続的にササを抑制するのは難しいと考えられます。毎年刈払いをしなければすぐに密度が回復するからです。

ササが受けるインパクトとしてはむしろ草食動物による採食圧が大きいと考えられます。近年増加し続けるニホンジカの採食行動によって各地でスズタケやチマキザサなどが激減していますが、シカの採食はササだけに留まらず植栽木の食害が深刻になっています。また、チシマザサが分布するような多雪地帯では、ニホンジカは生息できないと考えられるため、草食動物によるチシマザサへの影響は大きくないと考えられます。

ササ類は長寿命の末、一生に一回繁殖し、大面積に一斉開花・結実した後、地下部も含めて枯死するという特性があります。翌春には次世代が一斉に芽生えますが、チシマザサでは稈の密度、太さ、高さが元に戻るまでには20年程度の期間がかかります。この間は樹木にとっても非常に重要な更新の機会となります。ササの開花周期は60年と信じている人が多いようですが、現時点では百年以上という説が有力です。ササの一斉開花現象はササに与えるインパクトの中で最も大面積で長期間になると言えますが、頻度としては非常に低いものと言えます。


  自然探訪3月写真1:人の背より高いチシマザサ
写真1:人の背より高いチシマザサ

自然探訪3月写真2:ミヤコザサ群落のシカによる採食痕 
写真2:ミヤコザサ群落のシカによる採食痕

自然探訪3月写真3:チュウゴクザサの結実
写真3:ミヤコザサ群落のシカによる採食痕


自然探訪3月写真4:チュウゴクザサの大面積開花・枯死
写真4:チュウゴクザサの大面積開花・枯死

 

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