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更新日:2013年4月1日

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自然探訪2013年4月 樹皮下の昆虫たち

樹皮下の昆虫たち

木が枯れると、さまざまな昆虫がそこに集まってきます。枯れ木というのは私たちからすると目立たない存在ですが、いくつかのグループの昆虫にとっては重要な餌資源と言えます。ですから木が枯れていく過程で放出される匂い物質に引きつけられたカミキリムシ、ゾウムシ、キクイムシなどの甲虫類が、枯れ木の樹幹や枝に盛んに卵を産み付けます。そしてふ化した幼虫が食べるのは樹皮の裏側、内樹皮と呼ばれる部分です。枯れて間もない木では、この内樹皮の部分が最も栄養価が高く、これらの木に潜り込む虫たち(穿孔虫)の幼虫は、この部分にトンネル(孔道)を掘りながら内樹皮を食べて成長します。食べた後には糞と木屑の混じったフラスが排出され、それが孔道内に充填されていきます。多数の虫によって孔道が張り巡らされるとともに樹皮は剥がれやすくなり、菌類の働きも加わって木は見た目にもボロボロになっていきます。写真―1は、アカマツの枯れ木の樹皮下から現れたマツノマダラカミキリの幼虫です。

このような枯れ木には穿孔虫を餌とする昆虫も集まってきます。これらの天敵昆虫は捕食者と捕食寄生者に分けることができます。捕食者は文字通り餌昆虫を直接捕らえて食べます。キクイムシを食べるカッコウムシや、マツノマダラカミキリの天敵であるオオコクヌストがその仲間です(写真―2)。これらの虫は餌であるキクイムシが発するフェロモンや、カミキリ幼虫の食害を受けた木から放たれる揮発性物質の匂いに誘引されて、枯れ木にたどり着くことができます。捕食者の多くは、成虫・幼虫ともに穿孔虫を餌として食べています。一方捕食寄生者の多くは寄生バチ(写真―3)であり、これは母バチが樹幹の外側から震動や匂いなどを頼りに樹皮下の餌昆虫(寄主)を探し当て、長い針のような産卵管を差し込んで寄主に毒液を注入して動けなくした上で卵を産みます。ふ化した幼虫は寄主の体にくっついたまま、内部を吸い取るようにして食べ、成長します。頭と体の皮だけを残して寄主を食べ終えた幼虫は樹皮下で繭を作り、その中で蛹になった後、成虫が外に向かって羽化します。成虫の食べ物は幼虫とは全く異なり、花の蜜やアブラムシの出す甘露などです。

木の中に潜り込んでいる穿孔虫は、一見外敵からうまく隠れているように思われがちですが、これらの天敵昆虫は、穿孔虫そのものおよび穿入した木から発せられた匂い、音、熱などの様々な情報を利用して、見えない餌昆虫を探し当てることができるのです。そして両者は同じ枯れ木の樹皮下で越冬し、春になるとそれぞれの餌を求めて活動を開始します。

  写真1:マツノマダラカミキリ幼虫
写真1:マツノマダラカミキリ幼虫

写真2:オオコクヌスト幼虫 
写真2:オオコクヌスト幼虫

写真3:産卵するキタコマユバチ(体長約1cm)
写真3:産卵するキタコマユバチ(体長約1cm)  

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