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更新日:2013年5月2日

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自然探訪2013年5月 キビタキ

キビタキ (Ficedula narcissina

さわやかな若葉に誘われるように、東南アジアで越冬していた夏鳥たちが繁殖のために日本に渡ってきています。

今回紹介するキビタキもその一つで、スズメ位の大きさ(体長13~14cm)のヒタキ科の鳥です(南西諸島に生息する亜種のリュウキュウキビタキ(F. n. owstoni)は留鳥)。キビタキとは、黄色いヒタキの仲間の鳥という意味です。英名ではナルキッサス・フライキャッチャーといい、水仙の花のような色で、ハエなどの飛翔昆虫を捕らえる鳥を意味する名前がつけられています。ただし、美しい黄色が目立つのはオスだけで(写真1)、メスは全身褐色の目立たない体色をしています(写真2)。オスは、鳴き声も美しく「ポーピッピッコロ オーシーツクツク、ピッコロロツクツクフィー」などと変化に富んだ複雑な声でさえずります。

国内では全国各地の森林に生息しているのですが、特に落葉広葉樹林を好みます。東北地方のブナ林では、シジュウカラやヒガラとともに優占種の一つとなっており、福島県では県の鳥に選ばれています。森林内の空間を飛び回る飛翔昆虫を捕らえて食べることが多いのですが、地上に降りて昆虫などを捕らえることもあります。巣はおもに樹洞に作りますが、入り口が開けている場合が多く、巣箱も入り口が広くなっているものを利用します(写真3)。1回に産む卵の数は4~5個で、オスとメスが協力して1年に2回ほど子育てを行います。

全国的に夏鳥が減少しているといわれており、1970年から森林の推移と鳥類の関係をモニタリングしている岩手県中部のアカマツ林の調査地でも、サンショウクイやサンコウチョウなどの森林性の夏鳥が1980年代からはあまり見られなくなってしまいました。その一方で、キビタキは増加傾向にあり、同様な調査を行っているカラマツ林でも増加しています。両方の林ともに人工林なのですが、広葉樹類も保残しているため、キビタキにとって生息しやすい環境になってきたものと考えられます。森林性の夏鳥の減少については、越冬地である東南アジアの森林減少もおもな原因の一つではないかと考えられていますが、不明な点も多いことから、越冬地の生息環境や越冬地での生息状況について詳しい調査を行う必要があると思われます。

森の野鳥たちの美しい姿や歌声を楽しむことができる季節になりました。皆さんも、双眼鏡片手に会いに出かけてみてはいかがでしょうか。

  写真1:キビタキのオス
写真1:キビタキのオス

写真2:キビタキのメス 
写真2:キビタキのメス

写真3:キビタキの巣箱とキビタキのヒナ

写真3:キビタキ用の巣箱とキビタキのヒナ
(クリックすると拡大画像が出ます)(JPG:61KB)  

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