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更新日:2013年6月3日

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自然探訪2013年6月 フクロウ

フクロウ ―意外と身近な鳥―

“森の賢者”と呼ばれるフクロウですが、深い森にだけ住んでいるのかというと、そうでもありません。ここつくば(茨城県)では、思いのほか身近な所でフクロウをみることがあります。筑波山の南側に広がる平野に筑波研究学園都市が建設され、景観は大きく変りましたが、学園都市と隣接する地域では、以前の農村環境が残っているところもあります。農耕地と社寺林、屋敷林、二次林がモザイク状に散らばるこの複雑な環境には、多様な生物が暮らしています。

餌となる生物が生息していれば、それを食べる捕食者も出現します。おもに夜に活動するフクロウ(Strix uralensis)は、社寺林などに残る大木の樹洞(木にできた“うろ”)で繁殖します。森林では、1つがい当たり400ヘクタールの面積が必要との報告もありますが、つくばのような環境では、1ヘクタールに満たない林でも子育てをする場合があります。つがいは、生きている限りは、同じ縄張りで添い遂げるようですし、何年も同じ巣穴を利用することがあります。

フクロウは、通常2~4個産卵します。春早く産まれた卵が孵り、子育ても順調に進むと、5月の中下旬にかけて、雛が樹洞の入口に出てくるようになり(写真1)、その数日後には巣立ってゆきます*。ただ、フクロウの雛の成長には兄弟間で差があり、小鳥のようにほぼ一斉に巣立つことはなく、何日かかけてすべての雛が巣立ちます。6月に入っても、雛たちは巣の近くの木の枝にねぐらをとり、昼間はじっとしています。親鳥も、幼鳥の近くにねぐらをとりますが(写真2)、明るい時間帯にもときどき雛に給餌します。夜の鳥と思われているフクロウですが、昼間でも他の鳥と同様に飛び回ることができ、餌を捕まえることもできます。ただ、カラスにみつかると、しつこく追い回されたりして、餌を捕るどころではなくなります。雛は、ねぐらの場所を変えながら、次第に巣から離れて行き、巣立ち後3カ月ほどで親の縄張りから出て行くようです。

子育て時期にフクロウが食べる餌は、小鳥類からコジュケイ(写真3)やキジバトなどの中型の鳥、哺乳類ではネズミ類やモグラなどがおもですが、野うさぎや猫まで捕まえたという報告もあります。ツミという小型のタカも犠牲になることがあります。雛が小さいうちや飲み込むには餌が大きいときには、親鳥が肉をちぎって雛に与えます。しかし、巣立ち後ほぼ1ヶ月も経つと、親鳥はモグラを丸のまま幼鳥に渡しますので、この時期の幼鳥はそれなりの大きさの餌を自分で処理して食べることができます。

研究学園都市建設に続き、科学万博開催、つくばエクスプレス線開通と、つくばの農村景観も徐々に変わりつつあります。この地に長く住んでいる方から、“昔は、この(神社の)森にもフクロウがいたんだけど”という話を聞いたことがあります。“つくば市の鳥”に指定されているフクロウですが、以前に比べれば、住みにくくなっているのかもしれません。

* 巣立ち間もないフクロウの雛はうまく飛ぶことができません。地面に降りていることもありますが、近くで親が見守っているはずですので、雛を見つけてもそのままにしておきましょう。

写真1:樹洞の入口にとまる巣立ち前のフクロウの雛。
写真1:樹洞の入口にとまる巣立ち前のフクロウの雛

写真2:巣立ち後の雛を見守る親鳥。
写真2:巣立ち後の雛を見守る親鳥

写真3:巣の周辺に散らばるコジュケイの羽毛。
写真3:巣の周辺に散らばるコジュケイの羽毛

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