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更新日:2014年12月1日

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自然探訪2014年12月 シマサルノコシカケ

シマサルノコシカケ (Phellinus noxius

シマサルノコシカケ(Phellinus noxius)は熱帯から亜熱帯地域に広く分布するきのこで、日本国内では南西諸島や小笠原諸島などに分布することが知られています。和名の「シマ」とは「島」のことで、これは日本で初めてこのきのこが採集された小笠原諸島にちなんで命名されたものです。「サルノコシカケ」と総称されるきのこ類の多くは、まさしく「腰掛け」のような張り出した子実体(きのこ)を樹木上に形成します。一方、シマサルノコシカケは樹木に平たく張り付いたような子実体を形成することが多く、「腰掛け」という名前にはあまりそぐわないかもしれません。色も黒っぽく、慣れない人にはなかなか見つけづらいきのこです。

子実体は地味なシマサルノコシカケですが、熱帯地域では樹木病原菌として非常に恐れられています。シマサルノコシカケは、パラゴムノキ、チーク、チャノキなど様々な樹木の重要な病原菌として知られ、これらの集団的な枯死の原因となります。こうしたシマサルノコシカケによる樹木の枯損病を、南根腐病(brown root rot)といいます。シマサルノコシカケの菌糸は、根を通じて周辺の樹木に次々と感染する一方、胞子を飛ばせることによってより離れた樹木にも感染することもできます。パラゴムノキのプランテーションなどでは、南根腐病によって大面積にわたり樹木が枯死して、大きな経済的損失の原因となっています。

日本国内で南根腐病による被害が問題となり始めたのは、1980年代のことです。最初は石垣島において、モクマオウやテリハボクなどの防風林樹木の枯死被害が報告されました。その後、沖縄県各地や奄美諸島、小笠原諸島の各地に被害が拡大して、大きな問題となっています。南根腐病は非常に多様な樹種に被害を及ぼす病害です。接種試験の結果、スギ、ヒノキなどの国内の重要造林樹種も、南根腐病によって枯れる可能性があることがわかりました。今後地球の温暖化が進むと、南根腐病による被害が九州等に広がるかもしれません。南根腐病による被害拡大を阻止するには、この病害が発生する気候条件や環境要因について、明らかにしていく必要があります。

 


写真1:シマサルノシカケの子実体。
写真1:シマサルノコシカケの子実体。


写真2:南根腐病被害地。複数の樹木が枯死している。
写真2:南根腐病被害地。複数の樹木が枯死している。

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