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更新日:2015年1月5日

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自然探訪2015年1月 フクジュソウ

フクジュソウ

フクジュソウは、早春に黄色い花を咲かせる多年生草本です。フクジュソウは、日本では北海道から九州に広く分布しています。多くの人は、フクジュソウといえば1種類だと思いがちかもしれませんが、実は日本にはフクジュソウ(Adonis ramosa)、キタミフクジュソウ(Adonis amurensis)、ミチノクフクジュソウ(Adonis multiflora)、シコクフクジュソウ(Adonis shikokuensis)の4種が分布しています。

フクジュソウは、季節的に光環境が大きく変化する落葉樹林下に適応した生活史をもっており、林床の明るい雪解け直後から初夏に林冠が葉に閉ざされるまでの短期間に1年間の生活を終えてしまいます。春を告げる花の代表であるため、「元日草(がんじつそう)」や「朔日草(ついたちそう)」と呼ばれることもあります。「福寿」という縁起の良い名前から、正月の飾りとして、江戸時代から栽培もされていました。

フクジュソウは、花、茎と葉を含めた地上部全体が、太陽の動きに合わせて回転する性質(向日性, heliotropism)をもっています。また、夜間や曇りの日には花弁が閉じており、太陽が顔をだし気温が上昇してくると花弁を開きはじめます。このように花の向きを変えてパラボラアンテナのような花弁で太陽光を真正面から浴び、熱を集めることによって、花の内部の温度を外気温より6℃近くも高めることを可能にしています。温かい花の内部では、花粉の発芽や花粉管の伸長、種子の成長が促進され、結実成功率が高まることが知られています。

また、フクジュソウの開花する早春の寒い時期には、花粉の運び屋である昆虫(ハエやアブなどの仲間)の活動能力は低下しています。昆虫にとっては、フクジュソウの花は、餌場だけではなく体温を高めたり、交配相手を探したりする重要な生活の場となっています。つまりフクジュソウは、熱を報酬として与えることにより訪花昆虫を誘引することによっても、結実成功率を高めているといえます。

このようにフクジュソウは、効率的な熱収集システムを獲得することによって、限られた早春の光の豊富な時期を有効に利用しています。

 


写真1:咲き始めのミチノクフクジュソウ。
写真1:咲き始めのミチノクフクジュソウ

写真2:ミチノクフクジュソウの萼片は花弁より明らかに短い。
写真2:ミチノクフクジュソウの萼片は花弁より明らかに短い。

写真3:パラボラアンテナのような花弁で太陽の熱を集める。(ミチノクフクジュソウ)
写真3:パラボラアンテナのような花弁で太陽の熱を集める。
(ミチノクフクジュソウ)

写真4:フクジュソウ。萼片の長さは花弁と同じか、花弁よりやや短い。
写真4:フクジュソウ。萼片の長さは花弁と同じか、花弁よりやや短い。

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