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更新日:2015年3月2日

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自然探訪2015年3月 森の黒い土(黒色土)

森の黒い土(黒色土)

森の土がどのような色をしているか皆さんはご存知でしょうか。日本の森林では褐色森林土と呼ばれる暗褐色の表層の下に褐色をした土層を持つ土壌が森林面積の約7割を占めています。また、森の地表に積もった落ち葉や腐葉土をイメージするかもしれません。このことから森の土の色は茶色だったりこげ茶だったり、あるいは黒いと言い表す方が多いのではないでしょうか。中には本当に真っ黒な色をした厚い土層を持つ黒色土と呼ばれる土壌が存在しています(写真1)。このような黒色土は森林の1割弱を覆っていますが、その分布が偏っているため目にする機会のない方も多いと思います。黒色土は主に火山灰を母材としていることから、その多くが火山を中心として分布しています。特に火山の近くでは幾重にも黒い層が積み重なった様子を見ることがあります(写真2)。ただし、火山灰を母材としていても黒色層を持つとは限りません。黒色層は、花粉分析などから森林植生ではなく草原植生の下で形成したとみられます。つまり黒色土がみられる場所は現在ではスギなどの植林地であっても、過去に草原であった可能性が高いといえます。日本では温暖多雨な気候により植生は森林へと遷移しますが、黒色土がみられる場所は茅場や牧場として利用するために人の手で野焼き(写真3)が行われ長期にわたり草原植生が維持されてきたとみられます。

黒色土は厚い黒色の層に有機物を多量に貯留しており、その量は褐色森林土の約2倍にもなります。これは母材である火山灰が岩石に比べて風化しやすく、そこから多量に溶け出すアルミニウムや鉄などの金属元素が土壌に浸み込んだ有機物と結合するためです。火山灰を母材とする褐色森林土でもこの機構により、火山灰を母材としない褐色森林土と比べて多くの有機物を貯留しています。

実は火山灰が母材になっているとはいっても、噴火によって堆積した火山灰が、そのまま黒色の層になったわけではありません。火山灰は噴火により一度に大量に堆積すると有機物を蓄える間もなく地中へと埋もれてしまい、黒くはなりません。黒い層は火山活動が穏やかな期間に風などによって他所から運ばれ少しずつ地表に堆積した火山性の塵が母材となって出来たと考えられています。写真1のような厚い黒色層は塵が百年で数~十数mm程度の速さで堆積することにより数千年の長い歳月をかけて形成されたものなのです。

今年2015年は国際土壌年です。土壌は森林において木々を支え育むだけでなく、動物や昆虫・微生物の住処となり、豊かな水の供給源となり、我々の生活を支えています。身近にありながら普段あまり気にかけることのない土壌ですが、少し目を向けてみてはいかがでしょうか。

 


写真1:スギ人工林下の黒色土
写真1:スギ人工林下の黒色土
真っ黒な土層が1m近く存在している

写真2:火山近くの黒色土
写真2:火山近くの黒色土
黒い層が幾重にも積み重なっている

写真3:草原を維持するために行われる野焼き
写真3:草原を維持するために行われる野焼き

 

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