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更新日:2015年5月6日

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自然探訪2015年5月 ハチがつくるバラの建築物

ハチがつくるバラの建築物

野山を散策していると、おもしろい形、目を見張るほど鮮やかな色をしたふくらみを、植物上でみたことはないでしょうか。植物の芽、茎、葉、蕾、根など色々な場所にみられる不思議な形状や色をした物体。時には、花や果実そのもののようにすらみえるが、植物図鑑で確認してみても、それらが何なのかわからない。こんな経験をしたことはないでしょうか。

それらは虫たちが植物を使ってつくりあげた「虫こぶ」かもしれません。虫えいやゴールともよばれるこれら虫こぶは、虫が植物の中に入り込み、植物の成長を操作することでできあがる虫たちの家です。中には幼虫が住んでいて、外敵から身を守ったり暖をとったりするだけでなく、内側を食べ食堂としても利用しています。

日本の野バラの代表ともいえるノイバラにもそんな虫こぶをつくるハチがいます。バラハタマバチDiplolepis japonica (Walker)という、体の大きさが3ミリメートルほどで、前翅の紋が特徴的なハチです(写真1)。メスの腹は赤く、オスでは黒から茶褐色をしています。このハチによってつくられる虫こぶは、バラハタマフシという名前がついています(写真2)。一般に虫こぶの名前は、虫こぶが作られる植物、つくられる部位、虫こぶの形、そしてこぶを意味するフシを組み合わせてつけられます。このノイバラの虫こぶの場合、「バラ」の「葉」につくられる「球」のような形をした「フシ(こぶ)」を合わせて、「バラ-ハ-タマ-フシ」となります。ノイバラの葉に5月中旬から8月にかけて継続的に現れるこの虫こぶは、20日ほどで成熟し地面に落下します。虫こぶの中にいる幼虫はそのまま成長し続け、蛹を経て成虫となり、翌年春に虫こぶに穴を開けて脱出したのち、ノイバラの新芽に産卵します。

虫こぶをつくる虫はバラハタマバチを含むタマバチの仲間以外にもいて、タマバエの仲間ほかアブラムシやキジラミの仲間からゾウムシのような甲虫まで知られています(写真3)。多くは数ミリメートルほどの大きさしかない小さな虫なため、野外で虫たち自体を探すのは大変ですが、虫たちによってつくられる虫こぶは意外と簡単にみつかります。野山を出歩く際には、そんな小さな虫たちと植物によってつくり出される壮大な建築美に目を向けてみるのも楽しそうです。

 

写真1:バラハタマバチのメス成虫
写真1 バラハタマバチのメス成虫

写真2:バラハタマバチによってノイバラにつくられたバラハタマフシ
写真2 バラハタマバチによってノイバラにつくられたバラハタマフシ

写真3:. 他の虫こぶの例。ブドウトックリタマバエによってヤマブドウにつくられたヤマブドウハトックリフシ
写真3 他の虫こぶの例。
ブドウトックリタマバエによってヤマブドウにつくられたヤマブドウハトックリフシ

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