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更新日:2016年8月1日

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自然探訪2016年8月 いきものたちの意外なたべもの:奄美群島探訪記

いきものたちの意外なたべもの:奄美群島探訪記

わたしたち人間と同じように、自然に生きる動物たちも何かを食べて生活しています。ある動物が何を食べているのかを知っていれば、その動物がなぜそこにたくさんいるのか、あるいはなぜいないのかを考える基本的な手がかりとなります。また、一度いきものどうしのつながりを知ると、ある動物を見るだけで、まわりの自然の見えかたもこれまでとは違ったものになるでしょう。ここでは、私がこれまで研究を進めてきた奄美群島で目にしてきた、いきものたちの意外なたべものの話をしたいと思います。

まずは、大型のカエル、オットンガエルです(写真1)。オットンガエルは、奄美大島と周辺の属島にしか生息しない珍しいカエルで、体長は12cmほどになります。写真は奄美大島の林道で出会った個体ですが、何やら口からとげ状のものが飛び出していて、じっくり観察すると、それは少し動いていました。実は、サワガニを捕食した直後で、口に入りきらないカニの足が飛び出していたのです。カエルというと昆虫食であると知られているかもしれませんが、本当のところは、特に昆虫を選んでいるわけではなく、口に入るものは何でも食べるのです。サワガニが棲む水場周辺で暮らしているオットンガエルは、当然ながら、サワガニをたくさん食べて暮らしているわけです。

食べられる側としてのサワガニの話をしましたが、そのサワガニも意外なものを食べていました。写真は徳之島で撮影したドングリを食べるサワガニです(写真2)。うまく両腕でスダジイのドングリをハンドリングし、かじりやすそうな先端から器用に口に運んでいました。奄美群島では、スダジイのドングリがさまざまな動物の餌となることが知られていますが、サワガニも依存しているようです。スダジイのドングリは、年によって豊作や凶作がありますので、サワガニの暮らしもこれに大きく左右されているのかもしれません。

最後は、アマミサソリモドキがオオムカデを食べている瞬間です(写真3)。とはいえ、サソリモドキといういきものの存在を知っている人はあまりいないと思いますし、そもそもこの写真をみても、どちらがどちらを食べてるのかすら判断することは難しいかもしれません。アマミサソリモドキはサソリに形が似ていて、クモ綱サソリモドキ目に属しています。世界では120種ほどが知られていて、日本には九州から沖縄諸島に生息するアマミサソリモドキと、先島諸島から台湾に生息するタイワンサソリモドキが生息しています。奄美大島の山中で遭遇した際も最初はよく状況が分りませんでしたが、よく見ると、アマミサソリモドキがオオムカデの頭を抱え込み、むしゃむしゃ食べている一方で、ムカデは必死に逃げようとしている現場でした。ムカデというと強力な毒を持って、土壌動物の王者というイメージがありますが、さらに上がいることがわかります。

 

(野生動物研究領域 亘 悠哉)

 

 

写真1 サワガニを食べるオットンガエル
写真1 サワガニを食べるオットンガエル

写真2 スダジイのドングリを食べるサワガニ
写真2 スダジイのドングリを食べるサワガニ

写真3 オオムカデを食べるアマミサソリモドキ
写真3 オオムカデを食べるアマミサソリモドキ

 

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