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更新日:2017年1月4日

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自然探訪2017年1月 落葉する松、カラマツ

落葉する松、カラマツ

カラマツは「唐松」とも書きますが、外来種ではなく日本の固有種です。さらに「落葉松」とも書かれるように、カラマツは秋になると黄金色に染まって葉を落とし、一見枯れ果てた姿になって冬を越します。しかし春を迎えるとふたたび鮮やかな緑の葉を広げます。スギやヒノキ、アカマツなどは冬でも葉をつけたままの常緑針葉樹であるのに対し、日本の針葉樹のなかではカラマツだけが唯一の落葉針葉樹です。紅葉ならぬ黄葉、あるいは落葉したカラマツは遠目にも目立つことから、森林内の境界の目印として列状に植えられることもあります。

カラマツの天然分布は中部地方の高標高地帯が中心です。しかし寒冷地にも耐え成長が早いことから、長野県に由来するカラマツの苗木は地元だけではなく、北海道や岩手県など東日本各地にも盛んに植林されました。現在では日本の人工林面積の1割、約100万ヘクタールがカラマツです。丸太の生産量としてもカラマツは全国で年間に200万立方メートル以上、全樹種の1割以上を占め、トップランナーのスギに次ぎ、ヒノキとは二番手を争う重要な林業樹種です。

もっともカラマツの、特に若いカラマツの木材には旋回木理といわれる性質があり、板や柱に加工するとねじれや曲がりが起こりやすいという弱みがあります。このため、かつては鉱山の坑木や電信柱などの用途が中心で、丸太の取引価格としても低位に甘んじてきました。しかし現在では加工技術が進歩し、合板や大断面集成材の材料に用いられるなど、カラマツ持ち前の優れた強度を生かした用途が広がっており、市場の人気も高まっています。

歴史的に見ればカラマツは、スギやヒノキが育たない厳しい条件下で、仕方がなく植林された脇役という面も否定できません。しかし近年はむしろ積極的に、例えばスギの伐採跡地やアカマツの被害跡地に新たにカラマツを植林しようとする動きさえあります。長野県や北海道においてはもちろんのこと、本州各地においても、カラマツは林業の新たな主役の一人を演じ始めようとしているのです。

 

(森林管理研究領域 細田 和男)

 

写真1:新緑のカラマツ
写真1:新緑のカラマツ

写真2:黄葉した釧路パイロットフォレスト
写真2:黄葉した釧路パイロットフォレスト(撮影:北海道支所 古家直行)

写真3:冬枯れのカラマツ
写真3:冬枯れのカラマツ

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