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ホーム > 研究紹介 > 研究成果 > 研究発表会等 > もりゼミ > 過去のテーマ(もりゼミの歴史)H24-

更新日:2018年2月15日

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過去のテーマ(もりゼミの歴史)H24-

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平成29年度

平成30年2月6日(火曜日)午後3時から

 「スギとヒノキにはどのような違いがあるのか―メタ解析からの知見―(仮)」

大曽根陽子さん(立地環境研究領域領域土壌資源研究室 非常勤特別研究員)

    日本では、主要造林樹種において、1950年代から生理的特性や林分構造、
物質循環に関する多くの研究がなされ、膨大な知見が蓄積されています。
現在、私たちはこれら国内外で発表された文献を広く収集し、
スギ・ヒノキを対象に、約170の生理生態学的特性のデータベースを整備しています。
    ここでは、現在までに収集されたデータを解析し、スギとヒノキで、
その光合成特性、水利用特性、各器官の形態学的特性がどのように違うのかを紹介します。


平成30年1月26日(金曜日)午後3時から

1 「これまで取り組んできた樹木病害研究について」

安藤裕萌さん(東北支所非常勤特別研究員)

森林総合研究所東北支所、非常勤特別研究員の安藤裕萌と申します。
私はこれまで樹木病原菌を対象とした分類学的な研究を中心に行ってきました。
今回は学生時代から現在に至るまで携わってきた次の研究内容について紹介します。
1) 修士課程で行った「スギこぶ病」について研究を行い、
分子系統解析によって明らかになった病原菌の分類学的所属を明らかにしました。
2) 博士課程では、「Grosmannia piceiperda complex」というマツ科針葉樹を加害する
樹皮下穿孔性キクイムシと関係する少しマイナーな菌群について分類学的研究を行いました。
3) 博士修了後は、さび病菌の系統分類学的研究に携わり、タケ・ササ類の赤衣病菌の中間宿主を明らかにしました。
4) 最後に、現在取り組んでいる「ウルシの病害」についてこれまでの成果について報告いたします。
それぞれ短い内容になってしまうかもしれませんが、自己紹介を兼ねて各研究について紹介させて頂きます。


2 「植物は温暖化から逃れられるのか:動物たちの種子散布に注目して」

直江将司さん(森林生態研究グループ主任研究員)

自ら動けない植物は、種子散布(タネまき)によって移動します。
近年では、温暖化が進む中で種子散布が果たす役割か注目されています。
植物が温暖化から逃れる最も簡単で有効な手段は、種子散布によって気温の低い高標高へ移動することでしょう。
しかし、種子の標高方向の移動はこれまで評価されてきませんでした。
私たちは酸素安定同位体を利用して標高方向の種子散布を評価する手法を開発し、この手法を野生のサクラ(カスミザクラ)に適用しました。
その結果、主な種子散布者であったツキノワグマが平均で307m、高標高に種子を運んでいることが分かりました。
このことは、結果としてツキノワグマがサクラを温暖化の危機から守っていることを意味します。
ツキノワグマは他の植物の種子も高標高に運んでいるのでしょうか?また、他の動物だとどうでしょう?
本発表では最初に種子散布の意義を概説したうえで、動物たちの種子散布が温暖化条件下でどのような意味を持っているのか議論します。


平成29年7月17日(金曜日)午後3時から

「これまで震災復興に対して私が行ってきたこと」

福山 文子さん (福島県林業研究センター)

10月30日より、研修生として参りました福山と申します。
福島県職員として採用されてから4年目を迎えましたが、これまで東日本大震災の復興関連として、
海岸防災林試験に関すること、放射能関連試験に関すること、桜の増殖に関することなどを行ってきました。
今回は、私がこれまでに行ってきたことを紹介するという形で、
海岸防災林試験として、異なる盛土資材を用いた盛土上の植栽試験(第20回東北森林科学会大会にて発表)について、
そして、
放射能関連試験として、福島第一原子力発電所事故後に植栽した樹木への放射性物質の移行について(第18回環境放射能研究会にて発表)皆様に紹介いたします。

【異なる盛土資材を用いたクロマツ苗の活着と成長】
東日本大震災により海岸林は壊滅的な被害を受け、現在、海岸防災林の復興が着実に行われていますが、
盛土造成を行うにあたり、盛土資材の不足が懸念されています。
そこで、火力発電所から生じた石炭灰(クリンカアッシュ)や津波によって巻き上げられた津波堆積土の利用を検討するために、
クロマツの植栽試験を行い、植栽木の生残と初期成長に与える影響について調べました。

【苗畑と林地に植栽した樹木の放射性セシウムの移行について】
福島第一原子力発電所事故により、放射性物質が福島県内に広範囲で拡散しました。
放射性物質に汚染された土壌に苗木を植栽した場合、放射性物質の植栽木への影響は解明されていない部分が多いです。
そこで、苗畑と林地に、放射性物質に汚染されていない無汚染苗木を植栽し、どの程度、放射性物質が無汚染苗木に移動するか移行係数を用いて把握しました。


平成29年6月16日(金曜日)午後3時から

「海岸防風林を対象にした風況予測シミュレーションモデルの紹介と活用上の課題」

萩野 裕章 (東北支所 森林環境研究グループ)

海岸林などの防風効果を予測する場合、これまでは実際に現地で観測するか過去の代表的な観測事例を基に推測する方法を用いてきた。
しかし現地観測は大きな労力を要することと風速計の設置高さや設置数も限られるため、林帯周辺の風の流れ(風況)を詳細に予測することは難しい。
また伐採後の風況になるとさらに困難である。そこで民間企業と海岸林を想定した狭領域風況解析モデルを開発した。
モデルは乱れた気流の計算に使用される標準k-εモデルの方程式を改良した。解析における林帯は、風が通過できる割合を有効面積・体積として考慮した。
具体的には幹や樹冠は風が通過できないため、それらの計算領域に占める投影面積および体積を除いた部分を風通過の有効な領域とした。
モデルの計算結果が現実の現象をどの程度再現できているか確認するため、過去の風洞実験の条件をシミュレーションした。
樹冠の密度が増す(有効面積が減る)とそれに応じて風速の減速域が樹冠の風下側に広がる結果を得た。
このゼミでは一般的な数値シミュレーションの計算方法を紹介し、本モデルで工夫された技術と今後の利用に向けた課題を紹介し、
他分野への風況シミュレーション活用に向けた意見交換を行いたい。

平成28年度

平成29年3月30日(木曜日)午後3時から

森林総研での28年を振り返る

駒木 貴彰 (東北支所 支所長)

1989年4月に森林総研に採用され、今年3月に定年退職となるまでの28年間、
私の研究テーマとしてきた個別林家の経営動向分析(主に伐採性向・収益性分析)、森林所有権移動問題、
森林認証、木質バイオマスのエネルギー利用及び再造林の低コスト化等に関わる研究を簡単に紹介してみたい。
それぞれの研究テーマは現在でも様々な局面で解決が求められており、継続的な研究遂行と深化が期待される。
ただし今回は、私の研究について大学教員の退官講義のように話すつもりはなく、またその力量もないので、
その時々の出来事を交えた物語風の話になることを予めご了承願いたい。
加えて、東北支所長として過ごした5年間についても、反省を込めて振り返ってみたい。


海岸林に始まり海岸林に終る?

坂本 知己 (東北支所 地域研究監)

1981年に北海道支場防災研究室に配属されてから今日までに携わった主な仕事を振り返り、
その間、何を見て何を考えてきたのかを、ポイントとなる図・写真を示しながら考えてみるつもりです。
森林総研(林野庁?)が扱う防災の本質は、発生源対策と緩衝帯の確保でしょうか。
それだけでは、大学で習ったことから出ないのですが・・・。


平成29年1月19日(木曜日)午後2時から

木質基質に依存した秋田天然スギの更新

太田  敬之 (東北支所・森林生態研究グループ)

秋田県北秋田市阿仁の佐渡スギ群落保護林は標高950mに隔離分布する天然スギ林として天然記念物に指定されている。
秋田天然スギ林としては仁鮒水沢、仁別などが有名だがこの林分の特徴としては、
1)広葉樹が高い割合で混交しており、スギの幼樹、小径木も多く見られる
2)スギが倒木、伐根の上に高い頻度で生育しているといったことがあげられる。
1992年に佐渡スギ群落保護林に約1haの試験地を設定し、現在まで5年ごとに毎木調査(DBH5cm以上)を継続してきた。
スギがどのような基質で更新を行うのかを明らかにするため、地表面と根株にコドラートを設定し、
幼樹(幹長130cm以上、DBH<5cm)、実生の消長、成長を比較した。
スギはすべてのステージにおいて根株上での密度が地表面より高かった。
地表面ではスギの実生は6年以内にすべて枯死したが、根株上では8年後でも10%以上の実生が生存しており、
実生のステージでの生存率がスギの分布の偏りに影響していることが示唆された。
スギの根株に対する嗜好性として、腐朽度とともに根株の高さが重要な要素となっていた。
例えばスギ幼樹は高さ60cm未満の根株には分布しておらず、
実生も根株の高い部分に定着したものほど生存率が高い傾向が得られた。


平成28年5月19日(木曜日)午後3時から

森林生態系における冬季の土壌中の窒素動態と植物の窒素利用

上田  実希 (岩手大学農学部・共生環境課程)

陸上生態系において窒素はしばしば植物の成長を制限する要因となる。
このため、土壌から植物への窒素の可給性や植物の窒素利用様式は生態系生態学や植物生理生態学において重要なトピックである。
本研究では、冬季の土壌中の窒素動態と植物の窒素利用に着目した。
近年、冬季の生態系の窒素動態や植物の窒素利用が注目されるようになってきた。
たとえば、土壌中では0℃以下でも微生物の活動(呼吸など)が観測されたり、常緑植物は冬季でも葉をつけて光合成を行うことなどが知られている。
また、温帯域では冬季は数か月以上に及ぶ長期間であるため、年間に占める割合が無視できないと考えられる。
本発表では、まず、北海道の冷温帯林において行った0℃以下の土壌中での窒素動態と植物による窒素の吸収について報告する。
0℃以下の土壌中では成長期よりも植物が吸収しやすい無機態窒素の現存量が大きくなった。
また、人工的に温暖化を起こして土壌を0℃以下にしない場合には無機態窒素の増加が起こらないことを示した。
さらに、窒素の安定同位体(15N)を用いた研究から、常緑植物だけでなく落葉植物も0℃以下の土壌から窒素を吸収していることを示した。
また、冬季に植物に吸収された窒素が植物体内でどのように利用されるかを15Nを用いた追跡試験で調査した。
冬季に吸収された窒素は、成長期に吸収された窒素と同程度に翌年の葉の形成に寄与していたが、葉内での物質への分配のされ方は、
冬季に吸収された窒素と成長期に吸収された窒素では異なっていた。
さらに、植物体内での移動様式や、植物体内への留まり易さ(落葉前の引き戻り易さ)が異なっていた。
これらの結果から植物の冬季の窒素利用特性について考察する。

平成27年度

平成28年3月7日(月曜日)午後3時から

数値シミュレーションによる海岸林の津波減勢効果の評価

野口  宏典 (東北支所 森林環境研究グループ)

東日本大震災以降、海岸林の津波減勢効果を評価することの必要性は高まっている。
この数値シミュレーションに用いられるパラメータの信頼性を高めるために、
水理実験によって実物樹木の水力学的抵抗特性を、
立木引き倒し実験によって樹木の物理的耐性を明らかした。
この2つの実験の結果と、実験結果を用いた数値シミュレーションによる
海岸林の津波減勢効果の評価について報告する。

平成27年12月21日(月曜日)午後3時から

育林経営再編の諸相

大塚  生美 (東北支所 森林資源管理研究グループ)

世界農林業センサスの外形基準に基づくと,私有林の所有者は,大きく「林家」と「林業経営体」に区分される。
農林水産省が実施した調査では,保有山林面積規模1ha以上20ha未満の林家の69%が「施業実施が必要な山林はあるが,
実施する予定はない」と回答するなど中小規模の森林所有者の経営意識は低い。
こうしたことを背景に,原木を必要とするセクターを中心に育林経営再編の動きがある。
新たな動向を報告し,それらの動きをどう捉えるべきか,議論の場としたい。

平成27年10月13日(火曜日)午後3時から

海岸林をめぐる諸々の課題

坂本  知己 (東北支所 地域研究監)

一通り出来上がっていたわが国の海岸林であるが、いくつかの課題を抱えている。
課題は、海岸林の維持管理だけではなく、造成技術に関するものもあり、そのことは、3.11の巨大津波後の海岸林の再生で浮かび上がった。
それらの課題を改めて整理し、今後の研究要素を考えるきっかけにしようと思う。

平成26年度

平成27年3月23日(火曜日)午後3時40分から

産学官連携推進調整監の役割と低コスト再造林技術の普及

松本 和馬 (東北支所 産学官連携推進調整監)

産学官連携推進調整監に求められているのは森林総研の研究成果の普及により社会貢献を実現することである。
東北支所の産学官連携推進調整監としてこの3年間低コスト再造林の研究成果の普及に努めて来た。
この過程で、低コスト再造林に係る農食研プロジェクト課題を東北各県の研究機関、民間事業体との共同研究として立ち上げ、
研究の推進と普及を平行して行なうとの方針のもと各県研究機関、各県の県庁林政担当課及び地方組織、民間事業体への働きかけ・連携を行なった。
この結果、研究成果の行政施策への反映、各県の取組み意識の高揚、民有林での森林総研が提案する低コスト再造林手法の適用等が実現しつつある。
一方でなお課題も多く、また刻々変化する周辺状況も考慮しなければならない。以上の点について述べる予定である。


平成26年7月1日(火曜日)午後3時から

【Title】 Toward robust generalizations for understanding how well-managed commons (iriai) can combine sustainable use of resources with environmental quality

【話題提供者】 Margaret A. McKean  (Duke大学)

【Summary】Management of natural resources fails if it does not account for the incentives of humans dependent on those resources.
Recent experience with many different techniques for managing natural resources indicates that humans are far more likely to obey restrictions on use that they invent themselves in their own joint interest than they are to obey restrictions created and imposed on them by government or other powerful actors.
Although commons (iriai) arrangements have been criticized as somehow 菟rimitive・ by fans of industrial and agricultural modernization for decades and even centuries, these arrangements actually solve some problems that become more severe with modernization, and that modern economies must solve.
In particular, commons systems allow humans (a) to create management units that match the size of ecosystems so as to internalize environmental externalities, and thus
(b) to combine productive use of natural resources with the lim itations on use that are needed for long-term sustainability of these resources.
Elinor Ostrom won a Nobel Prize in Economics in 2009 for demonstrating this historical reality and for discovering the essential guidelines for designing a successful commons system.
However, our knowledge so far is based mostly on the accumulation of case studies, all done by different researchers with different goals who collected different (non-comparable) information about each case. Moreover, the focus of most case studies has been internal design and function of these systems, so we have not learned enough about the relationship between commons systems and their political and economic context, an essential topic for predicting which places are good candidates for creating or reviving commons management.
To advance our understanding of commons we need to collect data more systematically and comprehensively and to study the surroundings of commons systems.
The large-N project we have here in Iwa te is designed to mine one of the world痴 richest sources of legal and historical information about commons so that we can understand what contextual factors are important in enabling a commons system to survive over time.

平成25年度

平成26年2月6日(木曜日)午後4時から

ガバナンスという視点からみた自然資源管理の課題:絶滅危惧種保全を事例として

八巻  一成  (北海道支所 北方林管理研究グループ)

自然資源の管理は様々な利害関係者が関わって行われている場合が多く、利害関係者の連携や協力、合意形成が良好な管理を実現していく上での重要な鍵となっています。
しかし、それは必ずしも容易なことではなく、連携、協力がうまくいかない場合、資源が劣化したり消失してしまうこともあります。
そこで、関係者の協働による管理(ガバナンス)という視点から自然資源管理の課題を探るため、絶滅危惧種保全の取り組みを事例として研究を行いました。
北海道礼文島、秋田県男鹿半島に生息し、種の保存法によって絶滅危惧種に指定されているレブンアツモリソウ、チョウセンキバナアツモリソウの保全活動を事例として取り上げ、
保全活動に関わっている関係者を対象に、ガバナンスの現状評価に関する調査を実施した結果についてご紹介します。


平成26年2月6日(木曜日)午後3時から

ササにおける放射性セシウムの吸収・輸送に与える養分動態の季節性の影響

齋藤  智之 (東北支所 育林技術研究グループ)

ササは林床に広く優占し、放射性物質による林床植物の汚染の地域的な実態を比較する上で重要である。
また、ササは分枝構造から各部位の齢が分かるため、放射性物質の濃度は年毎に生産された部位毎に明らかにでき、時系列で動きを追えるかもしれない。
本研究では原発からの距離の異なる二地域、ササ3種の放射性セシウム濃度の測定結果を報告する。
ササの採取地と対象種は、原発から距離約40kmの川俣町内の広葉樹林に分布するクマイザサ、同様に約70kmのいわき市に分布するミヤコザサ、スズタケである。
各ササは地上部、地下部を採取し、分枝パターンに応じて部位毎にCs137濃度を測定した。
植物体全体のCs137濃度は、川俣のクマイザサで約6kBq/kg、いわきのスズタケで約800Bq/kg、ミヤコザサで約200Bq/kgで、
地域の空間線量率とオーダーレベルで対応したが、地域内では分枝構造、現存量の異なる2種間で異なった。
部位別では空間線量率や種に因らず似た傾向を示し、葉で高かった。
稈の齢構成では、事故当時存在した2年生以前の部位の濃度が高く、降下物が表皮に付着した影響と思われた。
今後も測定を継続し、放射性物質の動態を解明したい。


平成25年11月27日(水曜日)15時から

水源林立地地元村における地域再生の取り組み--山梨県道志村を事例として--

泉  桂子 (岩手県立大学 総合政策学部)

報告者の2007年から2012年までの研究歴を紹介する。
1)森林政策の社会的役割および造林公社問題に関する研究、
2)近代山梨県における木材需要と鉄道輸送の相関に関する研究、
3)山梨県道志村周辺における地域間連携・森林再生に関する研究に大別できる。
特に3)について、道志村は横浜市の水源林の立地する自治体であり、道志村民が
ダム建設にともなう漁業資源の補償や、1990年代初頭のゴルフ場開発の中止に際し、
中心的な役割を果たしてきた。水源は水源地域の人々によって守られてきた一面を持つ。
現在同村は「日本一の水源の郷」を目指して産業政策、観光振興や都市交流を行っている。
NPOによる地域材活用や耕作放棄地解消の試みなど特筆すべき動きが見られる。
藻谷浩介の手法を用いて道志村を分析すると、高齢化のピークを都心や地方都市に
先立っていち早くくぐり抜けた高齢化先進地であるといえる。同様に財政面では、
村税収入を10%前後割合保っていることが注目される。
加えて道志村の女性就業率は大変高く、第2次産業の女性就業者が減少した分、
第1次産業・第3次産業の女性就業が増加していた。
今後の研究課題として、「水源地は過疎化、少子高齢化の進む、不便で経済的に貧しい地域」という
一面的な見方にとどまることなく、下流との連携を含めた地域の可能性を探りたい。


平成25年9月2日(月曜日)16時から

尻労(しつかり)安部洞窟の後期更新世動物化石から探る旧石器時代人と動物の関わり合い

澤浦  亮平 (東北大学大学院 歯学研究科)

尻労安部洞窟は青森県下北半島北東部の石灰岩地帯に所在する旧石器時代の遺跡で、近年の発掘調査により後期更新世の堆積層において動物化石が多数出土する成果が挙がっている。
動物化石はノウサギ属(Lepus)が最も多く、更新世から完新世への移行期に本州では絶滅したとされるヒグマ(Ursus arctos)やヘラジカ(Alces alces)に類似する化石も含まれる。
これらの動物化石群は旧石器時代の石器(ナイフ形石器)とともに出土した点などから、人類の関与が強く示唆される。
本発表では尻労安部洞窟の発掘調査を紹介しながら、出土動物化石をもとに、本州北部における後期更新世の動物相、狩猟活動に代表される旧石器時代人による動物利用、について話題提供する。


平成25年8月26日(月曜日)15時から

川の魚は落葉で育つ

阿部  俊夫  (東北支所 森林環境研究グループ)

古くから水辺の森林には、水生生物を育む“魚つき林”としての機能があると信じられてきました。
近年、川の周りにある森林(渓畔林、河畔林)に関しては、生物の生息場所形成、水温・水質形成など川の生態系にとって重要な機能を持つことが分かってきました。
本報告では、こういった機能のうち、森林がエサ資源の供給を通じて魚など川の生物の生息にどう貢献しているかをお話ししようと思います。

渓流への有機物供給―落葉が主役―
川は上流へ行くにつれて多くの支流に分かれ小さくなります。源流部の渓流はとても川幅が狭いため、川全体が森林に覆われてしまうこともあります。
茨城県のブナ林に覆われた渓流で1年間に川に供給される有機物量を調べたところ、ほとんどが森林からのリター(落葉・落枝)であり、渓流内での1次生産(石の表面に付く藻類)はわずか1.8%でした。
リター供給は10-11月に多く、73%が広葉樹落葉でした。一方、藻類の1次生産は樹木の葉が開く前の3-4月が最も活発で、夏季の生産は極めて低調でした。

渓流の食物連鎖―森林の寄与は大きい―
近年、安定同位体を用いて食物連鎖を解析する手法が開発されました。
生物の体を構成する炭素、窒素の安定同位体比はエサよりも少し高くなるため(経験的には炭素で1‰、窒素で3.4‰上昇)、炭素同位体比を横軸、窒素同位体比を縦軸に取ってグラフを描くと、
同じ食物連鎖に属する生物は右上がりに点が連なります。
この手法を用いて、5月にブナ林の渓流で食物連鎖を調べたところ、同位体グラフ上で藻類の右上や近くにプロットされた水生昆虫は数種類のみでした。
一方、落葉や細粒状有機物(落葉が分解したもの)の右上には、水生昆虫や甲殻類の多くがプロットされ、次いで肉食の水生昆虫、イワナの順で右上がりに連なっていました。
このことから、落葉が渓流の生物の重要なエサ資源になっていると考えられました(ただし、窒素同位体比の上昇幅は経験則より小さい)。
この調査は藻類生産の盛んな3-4月のすぐ後であったことから、他の時期ではさらに藻類の寄与は小さいと推測されます。
また、渓流魚については、川へ落ちた陸生動物も重要なエサであり、年間エサ量の約半分を占めるという報告もあります。
水生動物、陸生動物の両方を考慮して安定同位体でヤマメのエサ起源を調べた研究では、42.2-78.1%が森林などの陸上植物起源と推定されています。

川への落葉供給源の推定―森林をどこまで保全するか?―
以上のように、落葉は渓流の生物のエサ資源として重要ですが、それでは落葉供給源として森林を保全しようとした場合、川岸からどのくらいの範囲を保全すればよいでしょうか?
この問題は、落葉の移動距離に関係してします。北海道の河畔林で樹高10数mのヤナギの葉にスプレーで着色し落葉散布を調べたところ、落葉は根元から15-25mまでの範囲に落ちることが分かりました。
なお、地面での落葉の再移動は、積雪と林床植生が移動を阻害するため、ごくわずかでした。
落葉の散布範囲は、風の強さや樹高、樹種によって変わると考えられますが、現在、風速や葉の落下速度などから落葉散布を面的に予測できるモデルを開発中です。


平成25年7月29日(月曜日)15時から

森林流域における渓流水を通じた放射性セシウムの挙動

篠宮  佳樹  (東北支所 森林環境研究グループ)

福島第一原発事故により放射性セシウム(Cs)が環境中に放出された。
森林は放射性Csを森林生態系内に保持する傾向が強いと考えられているが、地形が急峻で雨量の多い日本の場合、出水時に流出する懸念がある。
そこで、福島県の森林流域で渓流水を通じて流出する放射性Csの挙動を調査した。
今回、2012年6月の台風に伴う大規模な出水時及び2012年の年間の放射性Csの流出量とその特徴について報告する。


平成25年7月11日(木曜日)15時から

地球温暖化が植物と昆虫の相互作用に与える影響の実験的検証

中村  誠宏  (北海道大学・中川研究林)

温室効果ガスの放出によって急激な地球温暖化が生じている。
野外操作実験はこの気温上昇が生態プロセスに与える影響を検証するのに大変有効な手法である。
森林の光合成活動や生物多様性の大部分は林床に比べて林冠に集中している。
本発表では北海道大学研究林で行っている林冠木(20m以上)を暖める操作実験について紹介する。
温暖化の影響をメカニズムから解明するために、ミズナラ林冠木(極相種)の地上部(枝)と地下部(土壌)に分けて暖めた。
さらに、樹種による温暖化応答の違いをみるためにパイオニア種であるダケカンバ林冠木の温暖化実験も行った。
その結果、土壌温暖化はミズナラ林冠部の葉形質の変化を介して食害度を減少させるが、ダケカンバでは食害度を増加させることが明らかになった。
一方、枝温暖化はミズナラの葉形質や食害に影響を与えなかったが、ダケカンバでは食害度を増加させた。
以上の結果から、温暖化影響を予測するためには戦略的の異なる樹種の応答の違いを考慮する必要があると考えられる。


平成25年6月28日(金曜日)15時から

樹高成長限界と森林の垂直構造:林冠からの視点

石井  弘明  (神戸大学 准教授)

陸域で最も地上部構造が発達する森林の生態系機能を支えているのは樹木が作り出す空間構造である。
なかでも垂直構造は光エネルギーの勾配や林内環境を規定するとともに、樹木の成長と資源利用の相互作用によって創出される。
今回の発表では、樹高成長を制限する生理的要因と、その結果としての森林の垂直構造の発達、および生態系機能との関係について、
ロープやクレーンを用いた林冠研究から見えてきたことを紹介する。


平成25年6月10日(月曜日)15時から

森の虫と菌 -その結びつきと多様性を探る-

升屋  勇人 (東北支所  チーム長(森林微生物管理担当))

日本国内のナラ枯れや北米のマウンテンパインビートルによるマツ**の集団枯損のような、**キクイムシと随伴菌による樹木の集団枯死が
世界各国で問題になっ**ている。また、**特定の菌類と密接な関係を結ぶことで繁殖に成功している虫が他に**も多くみられる。**こうした虫
と菌の共生関係は系統とな無関係に様々なグループの虫**と菌で見られ、**従来考えられていたよりも普遍的な現象であることが最近分かって**きた。**
今回のゼミではこうした様々な菌類と虫について紹介するとともに**、菌の系統的位置から、**どのようにしてこれら虫と菌の相互関係が成立したかについて考察*
*する。

平成24年度

平成25年3月29日

マレーシア熱帯林の一斉開花とNPP

新山  馨  (東北支所 地域研究監)

東南アジアの熱帯多雨林では、10数年に一度、分類群を問わず多くの種類の樹木が一斉に開花することが知られている。
熱帯林の更新や多様性の維持機構の一つとして、一斉開花がどのように機能しているのか、多くの熱帯生態学者の興味を引きつけてきた。
一斉開花に先立つ花芽形成の引き金が低温なのか乾燥なのかは、長い間、生態学者の論争の的となってきた。
一方、熱帯雨林は陸上生態系の中で最大の現存量を持ち、炭素の吸収源あるいは放出源として地球温暖化の文脈の中で重要視されてきた。
気候変動は、低温や乾燥の強度と頻度を変化させ、一斉開花と純一次生産(NPP)に、共に影響すると考えられる。
また一斉開花と多量の種子生産はそれ自体がNPPに影響する可能性が高い。
マレーシア半島のパソ森林保護区での長期のリターと毎木データの解析により、一斉開花の引き金が低温か乾燥か、そして一斉開花がNPPにどのような影響を与えるかに答えてみたい。


平成25年1月28日

植物珪酸体記録から見たササの地史的動態

佐瀬  隆  (北方ファイトリス研究室)

ササは日本の植生の重要な要素である。
しかし、開花が希なササは花粉化石記録が乏しいことなどの事情により、その地史的動態についてはよく分かっていなかった。
演者らはササ起源の植物珪酸体記録を活用しこの植生史の空白を埋める試みを続けてきた。その結果、後期更新世以降について次のような情報を得ている。
北海道では最終氷期に先立つ酸素同位体ステージ(MIS)5aにササが希薄となり、そのような状況が少なくとも最終氷期の終了まで継続した。
東北地方北部でも最終氷期最寒冷期(MIS2)においてササは希薄となるが、最終氷期の前半では植生の主要な要素として関わった。
北日本とは異なり、南関東や東海地方東部の愛鷹山麓では、最終氷期においてもササが途切れることなく植生の主要な要素であった。
このうち南関東では、最終氷期の終了に連動してササ相の優勢群がササ属からメダケ属へ交代した。
一方、愛鷹山麓ではメダケ属が最終氷期からほぼ一貫して優勢群であった。
今回のゼミでは植物珪酸体情報の有用な記録媒体である火山灰土(ローム層、黒ボク土層)の生成史を背景としてササの地史的動態について話題とする。


平成25年1月10日

北欧の森を歩いて考えたこと

松木  佐和子  (岩手大学 農学部)

今年の5月から9月にかけて、大学のサバティカル研修制度を利用し、
トータルで3ヶ月という短い期間ではありますがフィンランド、スウェーデンの研究機関に所属する機会を得ました。
初めて目にする北緯60度以上の森林、北欧の人々の森林との向き合い方、北欧の研究者達の研究スタイルなど、
様々な面で良い刺激を受けました。
今回の発表では、その刺激をスライドショー形式でみなさんにも共有していただくととともに、
日本との違いや北欧から学べることはあるか?について考えてみたいと思います。


平成24年10月22日

虫こぶ形成昆虫と害虫カメムシの生態学:シカとの生物間相互作用から広域害虫管理まで

田渕 研 (農研機構 東北農業研究センター)

今回のセミナーでは、私が森林総研にお世話になった際にやった仕事と現在行っている仕事、異なる2つの話題についてお話しします。
(1)虫こぶ形成昆虫とシカの生物間相互作用
近年世界中でシカ類が増加し、生態系改変や農林業被害が深刻化しています。
奈良の大台ヶ原、カナダのニューファンドランド島における研究事例から、シカ類の食害が植食性昆虫群集に与える影響について簡単に紹介します。
(2)害虫カメムシの広域管理
害虫-天敵個体群は農地と非農地を行き来します。この本質的な事実から「圃場単位」での防除対策だけでなく、
「集落・市町村単位」といった広域的な観点からの害虫個体群管理が必要だと私は考えています。
今回はイネ・ダイズ害虫のカメムシを対象にした研究結果と今後の方向性について議論します。


平成24年10月9日

カンボジア国低地落葉林を構成する上層木と下層植生の蒸散量の個別評価

飯田  真一  (森林総合研究所 水土保全研究領域 水保全研究室)

カンボジア国はインドシナ半島に位置し、その気候はアジアモンスーンの影響を受けて明瞭な雨季と乾季を有している。
そして、近隣諸国ではすでに消滅してしまった低地部の森林が天然林に近い形でカンボジア国には残存しており、貴重な植生となっている。
森林総合研究所が中心となり、低地常緑林に関する水文学的・生態学的な知見が集積されつつあるが、
カンボジア国で最もポピュラーな植生である低地落葉林に関する知見は依然として不足しているため、
我々のグループは2009年より低地落葉林を対象とした観測研究を開始した。
低地落葉林は、立木密度が低く疎な林冠を有する落葉性の上層木と、密な下層植生から構成されている。
気候帯および樹種は異なるものの、北方林はカンボジア国の落葉林と似た林分構造、
すなわち疎な上層木と密な下層植生で構成される場合があり、
下層植生は上層木とほぼ同程度あるいはそれ以上に蒸散として水を消費することが知られている。
同様の現象が落葉林においても生じているのであろうか?落葉林における水循環を理解するために、
上層木と下層植生、それぞれの蒸散量を定量的に評価する必要がある。
本セミナーでは、樹液流速測定法および乱流変動法を用いて落葉林を構成する上層木と下層植生それぞれの蒸散量を個別評価した結果について紹介する。


共著者:清水 貴範、玉井 幸治(森林総合研究所水土保全研究領域水保全研究室)、壁谷 直記、清水 晃(森林総合研究所九州支所)



平成24年9月24日

木質バイオマスの固定価格買取制度と地域林業の振興

駒木  貴彰  (東北支所 支所長) 

この7月から再生可能エネルギーの全量固定買取制度(Feed-in Tariff(FIT)制度)が様々な紆余曲折を経てスタートした。
これにより、太陽光、風力、地熱、バイオマス等の再生可能なエネルギー源を利用して発電した電気を一定期間・固定価格で電気事業者が買い取ることが義務化されたわけである。
例えば、木質バイオマスが原料となる電気については、1kWh当たりの買取価格(税抜き)は、パブリックコメントを経て未利用木材(間伐材や林地残材等)32円、一般木材(製材工場等からの端材等)24円、
リサイクル木材(建築廃材等)13円、買取期間はどれも20年と決められた。
この価格は中立的な第三者機関「調達価格等算定委員会」の審議に基づいて毎年見直されることになっているが、ここ3年間は再生可能エネルギーの導入を集中的に図るため、
電気の供給者の利潤に配慮すること(儲けさせること)とされている。
木質バイオマスを利用する発電は、太陽光や風力とは違って常に燃料を供給することが必要であり、山元には原料供給という長期にわたる大量の需要が生まれることで地域経済への貢献が期待されている。
その一方で、原料の安定供給が可能か、原料調達面で他業種(特に紙パルプやチップ業界)と競合するのではないか、伐採が進んで森林荒廃に繋がるのではないか等の心配の声もあるようだ。
本報告では、FIT制度の概要を紹介するとともに、木質バイオマスについて、FIT制度の開始に伴って地域林業の振興、ひいては低迷する地域経済の活性化にどう貢献できるのか、
森林総研はどのような役割を担っていけば良いのかを考える素材を提供したい。


平成24年8月20日

保護林の再編・拡充から赤谷プロジェクトへ:国有林の環境ガバナンスと政策形成過程への示唆

茅野  恒秀  (岩手県立大学 総合政策学部)

報告者は環境社会学の立場から、環境問題解決過程における主体・アリーナ・課題の相互連関による政策過程論の分析枠組みを構想してきた。
本報告では、国有林における2つの事例を取り上げ、環境ガバナンス論や政策過程論を踏まえて考察を行いたい。
第1の事例は、1980年代後半の保護林制度の政策過程である。
拡大造林政策や林道開発による自然林の消失に危機感を抱いた自然保護運動は、白神山地(青森・秋田県境)や知床(北海道)などに伐採の手が及ぶと、「ブナ・シンポジウム」の開催など自然林保護の世論を喚起した。
林野庁は「林業と自然保護に関する検討委員会」を設置し、保護林制度の再編・拡充を図り、森林生態系保護地域を導入する制度変革を行った。
制度変革の後、各地の森林生態系保護地域設定委員会の場に自然保護団体関係者が参画し、自然保護区のゾーニングに関与した。
この過程を、環境運動と林野行政の対抗的分業が様々な水準のアリーナにおいて成立した事例として分析する。
第2の事例は、国有林における生物多様性復元と持続的な地域社会構築のモデル・プロジェクトである「三国山地/赤谷川・生物多様性復元計画(通称「赤谷プロジェクト」)である。
プロジェクトの基盤である、地域住民・林野庁・日本自然保護協会の3主体による「協働」の枠組みは、治山ダム撤去による生物多様性復元や、国有林管理の計画段階からの市民参加に変革をもたらした。
この過程を、協働の枠組みが生物多様性保全と持続的な地域社会の構築を根源的な政策理念として機能させることに成功し、画期的な政策形成が促進された事例として分析する。
なお、本報告は、報告者の博士論文「環境問題解決過程における政策課題設定のメカニズムに関する研究」(2012年3月、法政大学大学院)の一部である。


平成24年7月23日

ヒノキ人工林における林冠疎開前後の広葉樹の動態

松本  和馬  (東北支所 産学官連携推進調整監)

放置が里山林の生物多様性の低下を招いているとの危惧から、生物保全を目標の一つに掲げた里山保全活動が盛んになっているが、
このような事例では低木層の刈払いは行うが大径化した上木のクヌギやコナラを伐ることは稀であり、短伐期の皆伐萌芽更新で経営される薪炭林とはかなり様相が異なる。
    ゴミムシ類の多様性を放置林、里山保全活動が行われている雑木林、伝統的施業が現在も継続している薪炭林の間で比較し、以下の結論を得た。
1.放置林に生息するゴミムシ類には生息場所ジェネラリスト、森林性ジェネラリストに加え、安定環境やリターの蓄積など高齢林的要素を好む種や薮の繁茂を好む森林性スペシャリストが加わり、比較的豊かな群集である。
2.現行の里山保全活動による下層の刈り払いは、これらの森林性スペシャリストを損ない、少数のジェネラリストが寡占する貧弱な群集構造をもたらしている。多様性向上には全く貢献していない。
3.短伐期皆伐萌芽更新で経営される薪炭林においても生息場所ジェネラリスト、森林性ジェネラリストは、常在種であり周囲の放置林との共通種でもあるが、若齢林分では林縁性スペシャリストが多い。

    林縁性スペシャリストの種数・個体数は林齢に伴う変化が大きく、3年生前後に最も多くなり、以後林齢とともに減少して収穫伐直前には薪炭林と周囲の放置林の種構成は似てくる。
里山保全活動に伴う植生管理は、伝統的里山施業を目標としているが、それとはかなり異なった結果をもたらしており、再考の余地がある。

平成24年6月25日

ヒノキ人工林における林冠疎開前後の広葉樹の動態

野口  麻穂子  (東北支所 育林技術研究グループ)

針葉樹人工林において、強度間伐や帯状伐採などの部分的伐採は、広葉樹の天然更新を促進し、より複雑な種組成や林分構造を作り出す契機となることが期待されます。
四国支所では、強度間伐、帯状伐採、小面積皆伐などの施業を行なった人工林で、広葉樹の更新状況やその動態を調べてきました。
天然更新の過程には、種子の供給、実生の定着、実生・稚樹の生存・成長といった複数の生活史ステージが含まれており、更新を予測する上では、どのステージが更新の成否の鍵になっているのかを明らかにすることが重要です。
本セミナーでは、ヒノキ人工林の強度間伐試験地を対象に、間伐前から間伐4年後にかけて、広葉樹の種子供給、実生および前生樹の生存・成長を調査した結果を紹介します。


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