ホーム > 研究紹介 > トピックス > 研究広報特設サイト > 2022年度 森林総合研究所公開講演会「ネットゼロエミッション達成のための森林の役割」 > 「建築構造、建築空間での木材、木質材料の利用に向けて」「木質バイオマスエネルギーの現状とコストについて」

更新日:2022年11月1日

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建築構造、建築空間での木材、木質材料の利用に向けて

Q1:内装材の用途について興味があり、調べたところ、材木の乾燥工程で超低温乾燥をすべきというような話を伺ったことがあります。そのような検討もされているのでしょうか?

A1:当所で超低温乾燥に関する研究は実施しておりませんが、乾燥方法や乾燥条件は木材の性質に影響を及ぼすと考えられており、強度性能への影響、抽出成分の違い、VOC放散量の違い、耐久性の変化等について、様々な機関で研究が進められています。例えば、乾燥条件がスギ材の抽出成分に与える影響については、「乾燥処理がスギ板材の抽出成分に与える影響(木材学会誌、63巻5号、p.204-213、2009年、(一社)日本木材学会発行)」で論じられています。文献も多数紹介されておりますので、それらをご覧いただき、用途に応じた乾燥条件をご検討いただければと思います。

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複合材料研究領域 領域長 平松 靖

木質バイオマスエネルギーの現状とコストについて

Q2:小規模なバイオマスエネルギーを考えると、様々な点でコストが課題になると理解しています。地域での活用を考えると、あえて発電まではせずに、熱利用だけで良いのかも知れないと思うのですが、バイオマスの発電設備と熱利用設備では、設備費用やランニングコストで、どれほどの差がありますか?

A2:小規模なバイオマスエネルギーの利用を考える場合、燃料に対する制約や機器の運転の難易度を考慮すると熱利用のみの運用の方が容易です。
ただし、設備費用の差については、様々なメーカーが機器を販売しており、導入条件も異なるため、一概には比較できません。
また、ランニングコストを考える場合、例えば、影響の大きな項目として燃料費があげられます。この燃料費は、燃料単価と燃料使用量の積で算出されます。小規模な発電機器(熱分解ガス化・ガスエンジン方式)は、一般的に含水率が15%以下の乾燥した燃料を必要とします。一方、熱利用のみのボイラーはそこまで燃料を乾燥させる必要がありません。つまり、燃料単価は乾燥させるコストの分だけ差が出ます。しかし、燃料消費量については、効率等の条件を設定する必要があり、一概にはお答えできません。
このように、コスト試算については、条件設定とセットで考えないと誤解を招いてしまう懸念があることから、私どもはユーザーが条件を入力することでコスト等を算出できる評価ツールを開発・公表しているとことです。ご興味がございましたら、こちらをご活用いただけると幸いです。
https://www.ffpri.affrc.go.jp/press/2022/20220407/index.html

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木材加工・特性研究領域 チーム長 柳田高志