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1年に30万人もの人が訪れる世界自然遺産・屋久島。縄文杉やウィルソン株に代表される屋久杉がよく知られていますが、屋久島は様々なタイプの森林によって形成されており、未知の部分が多く残されています。中には絶滅の危機に直面している希少種もあり、その解明と共に保護対策が迫られています。
本書の中心となっている調査研究は、平成13(2001)年から17(2005)年までの5年間、森林総合研究所と九州大学が環境省の研究費を受けて進めて来た、「屋久島森林生態系」研究プロジェクトです。プロジェクトの主体は研究者のグループですが、森林の管理を日常的に行う行政機関や、自然環境の保全に尽力する地元の人々との連携による総合的な力が、このようなフィールドサイエンスの推進と、その成果を利用した保全活動の実践には不可欠です。
本書は、屋久島の森林生態系のすがたを明らかにするために森林生態学、森林経営学、遺伝学といった様々な角度からアプローチしている研究や実際の保全活動の様子を、実例を挙げながら紹介しています。専門家に対してというより一般の方々に対して、なるべく平易に紹介することを試みています。屋久島の森林に関心のある方や、環境保全に興味を持ち始めた方の入門書として最適な本です。
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