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森林には菌類や線虫などの小さな生き物が棲息し、様々な生命現象を支えています。本書は、これらの生き物が関わる生物間相互作用の成立と維持機構の解明を目的とした研究を紹介するものです。その中には、マツ枯れやナラ枯れなどの我が国の森林に甚大な被害を引き起こしている樹木病虫害の発生に関わるテーマも扱われています。各章のタイトルから研究内容の多様性を知ることができますが、それは個々の研究の進め方の多様性や森林における生き物の営みの多様性を示しているに違いありません。各著者が学生・院生として、研究室で同世代の仲間と意見を交わしたり諸先輩の助けを得たりして、自ら研究を進めていく姿を知ることができ、これから新たに研究をはじめる若い学生には、特に読んで頂ければと思います。
<目次>
はじめに(二井一禎)
第1章 マツ針葉の内生菌(畑 邦彦)
第2章 ともに旅する樹木とキノコ(広瀬 大)
第3章 植物の定着に関わる菌類(谷口武士)
第4章 クロマツの根圏で起こる微生物間相互作用(片岡良太)
第5章 糞生菌のはなし(吹春俊光)
第6章 アンモニア菌(山中高史*)
第7章 昆虫嗜好性線虫の生活(神崎菜摘*)
第8章 キノコと昆虫を利用する線虫たち(津田 格)
第9章 植物の敵は地下にも存在する(藤本岳人)
第10章 線虫が切り拓く生物学(長谷川浩一)
第11章 敵か味方か相棒か(前原紀敏*)
第12章 環境激変(Rina Sriwati /竹本周平*)
第13章 感染しても枯れない?(竹内祐子)
第14章 何もせずにいいとこ取り?(新屋良治)
第15章 進化と系統で読みとく病原力のふしぎ(竹本周平*)
第16章 探索は闇雲じゃなく精確に(山崎理正)
第17章 親子二世代の連係プレー(Hagus Tarno /山崎理正)
第18章 ‘神々の食べ物’とは何か?(遠藤力也)
第19章 仲間もいれば敵もいる(斉 宏業/二井一禎)
おわりに(肘井直樹)
*: 当所職員
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