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林業試験場関西支場
さいきん、林業をめぐる課題として、とくにクローズ・アップされた問題は、生活環境の保全にたいする森林の機能への認識であろう。
わが国における人口の都市への集中は、きわめて速く、都市部人口の総人口にたいする比率は、すでに70%をこえている。またこのような人口の集中化とあいまって、産業の高密度化は、汚染、騒音などの公害をもたらしている。
したがって、このような公害から、都市生活の環境を保全することが、いよいよ急務となっており、そのなかで都市の緑化、保健休養のための森林の充足などがつよく要請されている。
当支場管内には、このような地域が数多く存在し、それぞれの地域で、具体的に緑化樹の選定、緑樹帯の造成、樹木衰退にたいする対策などが、試験研究機関に要求されている。また一方、かような人口の都市集中にともない、農山村の過疎現象もいちだんとすすみ林業就業者もいぜん減少傾向にあるし、さらに外材との競合の問題もからみ林業技術でみなおしを必要とすることがらも少なからずできている。
このように、林業をとりまく諸条件の変化につれて、研究機関にたいする要請も多様化し、増大してゆく傾向にある。大気汚染の公害に対応する問題、風致林の取扱い、非皆伐更新、良質高価値材の生産技術などについては、すでに一部試験研究を進めているが、なお一層充実してゆきたい。
ここに、昭和45年度の年報を刊行するにあたり、平素絶大なご協力をいただいている各方面の方々に厚くお礼申上げるとともに、内容について検討をいただき、ご批判をいただければ幸いである。
昭和46年12月
林業試験場関西支場長梅原博
一括版のpdfファイルはこちらです。年報第12号(昭和45年度)(PDF:7,716KB)
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