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林業試験場関西支場本館正面
わが国の林業がかかえている諸問題に対応すべく、林業試験場は10の「研究問題」を掲げ本支場一体となって研究を推進してきた。しかしながら、わが国の林業は内外の情勢の急速な変化によって、新たな、そしてより困難な問題に直面するに至っており、これに応じた研究目標の見直しが必要となった。そのため、昭和57年より研究推進目標作成の作業が開始され、59年度に次のような基本研究目標を概定した。
これらの基本研究目標を具体化するための研究分野は著しく広範にわたるため、「専門部門」、「地域部門」および「広領域・特定問題」の3分野に区分し、それぞれ具体的な研究問題を設定して、試験研究を体系的・効率的に推進することとした。
支場においては、主として地域研究部門を担当し当核地域の自然的社会的条件に適合した地域林業技術の総合化・体系化を進め、そのほか専門部門および広領域・特定問題の一部を分担することになった。関西の2府12県を研究対応地域とする関西支場は、地域のおかれている背景を踏まえて次の研究問題を概定した。
以上述べた林業試験場の研究目標は、60年度は研究運営を含めた試行期間として運用し、61年度より新研究推進目標のもとに発足する予定となっている。
59年度は従来の研究推進目標にもとづき研究が行われた。当支場の研究課題は23の経常研究のほか、次のような特掲研究である。大型研究としては、「生物資源の効率的利用技術の開発」(農水省大型別枠)、「森林食害発生機構の解明及び被害防止技術」(環境庁特研)、「スギ・ヒノキ穿孔性害虫による加害・材質劣化機構の解明」(農水省特研)、「マツ枯損防止に関する新防除技術開発のための発病機構の解明」(農水省特研)が行われ、このうち「発病機構解明」は59年度に終了した。このほか、特定研究として「サクラ主要病害防除対策」、「人工林冠雪害の育林的防除技術開発調査」、「マツ枯損防止新防除技術適用化促進調査」の3課題と、特別会計技術開発試験「蓄積経理システムの開発」、場内プロジェクト研究「地域に立脚した林業の総合的管理方式」が行われた。経常研究課題は、造林研4、経常研5、土壌研5、防災研2、樹病研2、昆虫研6(うち鳥獣関係2)、岡山試験地1である。
本年度の年報は、新研究推進目標への切替え時期に当たるため、年報編集委員会の労を煩わし体栽を一新した。内容もこれにふさわしく充実するため努力を続けたいと念じているが、今後とも当支場の研究遂行にご協力とご指導を賜わりたくお願いする次第である。
昭和60年8月
林業試験場関西支場長小林富士雄
一括版のpdfファイルはこちらです。年報第26号(昭和59年度)(PDF:3,525KB)
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