ここから本文です。
林業試験場関西支場本館正面
2年有余の全場的検討を経て概定した林業試験場研究推進目標に基づく研究課題は、昭和60年度には試行案として、61年度以降に正式採用する予定で運用されてきた。一方、「林業関係研究目標」(林野庁)が61年7月1日施行となったので、林業試験場研究推進目標の内容は、これとの調整作業を行ったのち「林業試験場研究基本計画」として近々正式決定の運びとなる。
当支場における60年度の研究の顕著な動きとしては、特別研究「低位生産地帯のマツ枯損跡地におけるヒノキ人工林育成技術の確立」の発足と、地域研究問題「都市の樹林地及び近郊林の育成管理技術の向上」の共同研究体制発足があげられよう。60年度より4年計画で開始された「マツ跡ヒノキ」は西日本を主対象とする特別研究であり、関西支場はその主力として牽引車の役割を果す立場におかれている。このため、支場内に「松跡ヒノキ検討研究会」を新設し、常時検討会を開始することにより研究室間の連けいを保つよう運用してきた。
「都市近郊林」については、試行期間の趣旨を生かすべく、「都市近郊林検討研究会」を新設し何回かの検討を行った結果、箕面国有林を主たるフィールドとした、全研究室参加の共同研究を発足させた。なお都市近郊林の研究に当っては針広混交が重要な検討問題であるとの認識から、これを関西地域研究推進会議(61年3月)の特別検討項目としてとりあげた。その際に検討された内容は、大山浪雄育林部長の労を経て本年報に収録した。
このほか、岡山試験地が50年に及ぶ歴史を経過した記念として、小林忠一試験地主任(前)が作成した岡山試験地樹木目録を収録した。また、近畿・中国・四国の国公立林試の自主的共同研究の推進に大きな役割を果たしている関西林試協の活動経過のうち、とくに古い時代の経過が、資料の散逸とともに闇に消えてしまう恐れがあるので、九州支場に転出した長友安男調査室長(前)にとりまとめを依頼し、本年報に収録した。これらの記録が永く残り、のちの世代の参考になれば幸いである。
60年度は、いわば移行年に当たるため、本年報のうち研究概要の編集も移行的な方針をとらざるを得なかった。新体制に入る61年度には、研究系統表に沿ってすっきりした体裁に整理して提供したいと考えている。今後とも当支場の研究遂行にご協力とご指導を賜わりたくお願い申し上げる。
昭和61年8月
林業試験場関西支場長小林富士雄
一括版のpdfファイルはこちらです。年報第27号(昭和60年度)(PDF:7,851KB)
Copyright © Forest Research and Management Organization. All rights reserved.