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林業試験場関西支場中庭
林業試験場における試験研究は、59年度までは、昭和54年4月の「林業・林産業に関する試験研究の推進目標」にもとづいて研究を実施してきたが、60年度からは、過去3年間にわたる全場的な検討を経て概定した新しい「林業試験場研究推進目標」に沿って実施することとなった。したがって、本年度は新研究推進目標2年目ということになるが、昨年の60年度は研究運営を含め試行期間として運用され、いわば移行期間として位置づけられたため、本年度が新しい研究推進目標に沿って本格的に実施された初年度に当たる。
新しい研究推進目標と運営の大きな特徴は、林業試験場の本・支場体制の中で本場と支場の役割、分担関係を明確にした上で目標を設定し、運営の改善を図った点である。すなわち、試験研究を、本場の「専門部門」、支場等の「地域部門」、各部門にまたがる研究あるいは特定して推進すべき「広領域・特定問題」に大別し、それぞれに、より具体的な研究推進目標及び研究問題・大中小課題を設定して、各部門の研究推進責任者のもとに試験研究を体系的に推進することとした。この中で、支場は主として地域研究部門を推進し、当該地域の自然的社会的条件に適合した地域林業技術の総合化、体系化にかかわる研究を進めるとともに、広領域・特定部門及び専門部門の一部を分担研究として実施することとなった。また、従来の担当官会議や業務報告会に代って、各部門別研究推進会議を設け、効率的な研究推進を目指した運営上の改善等も図られている。
本年度の年報は、以上のような新しい推進目標、運営に対応して、体裁を一新した。すなわち、従来研究室別に記述していた試験研究の概要を、上記の地域研究、広領域、特定研究、専門部門の分担研究に大別し、それぞれの研究問題、大・中・小課題別体系に沿った記述に改めた。また、第3の研究問題「先進林業技術の後発林業地への適用」の見直しに関連して実施した研究推進会議での特別検討項目「低コスト生産をめざした材質劣化防止技術」の検討内容についても後日の参考資料として収録した。このほか、61年度の動きとしては、新しい研究推進目標課題に即した場内展示室の整備や研究成果発表会の再開も書き留めておきたい。研究成果発表会については、その要旨を収録した。
新しい研究推進目標・運営は、60年度の試行を経て本格的に開始されたとはいえ、研究問題解決にむけての大・中・小の各課題レベルの構成、内容、推進方法について常に見直して行かなければならない。御叱正をいただくとともに、今後とも当支場の研究推進についてご支援、ご協力をお願いする次第である。
昭和62年10月
林業試験場関西支場長安永朝海
一括版のpdfファイルはこちらです。年報第28号(昭和61年度)(PDF:3,759KB)
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