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林業試験場関西支場
昭和60年度に試行という形で発足した新しい研究推進目標と研究運営も、今年度で3年目を迎えることとなった。試行錯誤の中にも、「支場のおかれた地域の自然的・社会的条件に適合した地域林業技術の総合化、体系化」を目指すという、いわば地域研究中心の課題設定・運営もようやく軌道に乗ってきたといえよう。
本年度の年報は、以上のような推進目標・運営をめぐる推移の中で、昨年度の年報で一新した体裁をほぼそのまま踏襲した。すなわち、60年度まで研究室別に記述していた「試験研究の概要」を上記の「地域研究」、「広領域・特定研究(学際的分野あるいは多分野にまたがる研究ならびに特定して推進をはかるべき研究)」及び「分担研究(同一研究分野での本・支場間分担研究)」の3種に大別し、「研究課題一覧表」に示すそれぞれの研究問題、大・中・小課題別体系に沿った記述に整理し提供している。
これらの試験研究の成果は、「試験研究発表題名一覧表」に示す通り、各種学会誌、公刊図書、機関誌等に発表しているが、本年報の「主要な研究成果」においては、発表の有無、課題の完了・継続の別にかかわらず、本年度の研究成果のうちある程度まとまりがあり、速報的に提供すべきものについて収録した。よろしく御検討いただきたい。
当支場における4地域研究問題のうちのひとつである「畿陽アカマツ林帯におけるヒノキ人工林造成技術」は、近畿・山陽地域の低海抜山地に広がる約85万haと推定される低位生産林地(畿陽アカマツ林帯)について、マツ枯損跡地でのヒノキ林造成技術の体系化を図る目的で実施している重要研究である。現在この研究問題は、農林水産技術会議の特別研究「低位生産地帯のマツ枯損跡地におけるヒノキ人工林育成技術の確立」で対応しているが、63年度で終了する予定となっている。63年度の特別研究終了を受けて、今後地域研究問題としてどのような取組みをすべきかについて、2回の現地検討会を開催し、関西地域部門研究推進会議における特別検討項目として討議を行った。今後の検討資料として役立てるため、その概要を収録した。
61年度に再開した支場の研究成果発表会も2年目を迎えたが、少しでもお役に立てるべく簡単な要旨でなく、やや詳しく掲載することとした。「主要な研究成果」とあわせて御検討いただければ幸いである。
林業試験場は、その80余年の歴史の幕を閉じ、来月から「森林総合研究所(仮称)」として再出発が予定されている。現在、このための目標・運営・施設等全般にわたる検討作業が進行中である。円滑な新体制への移行、研究推進について一層の御支援、御協力を賜わるようお願い申し上げる。
昭和63年9月
林業試験場関西支場長安永朝海
一括版のpdfファイルはこちらです。年報第29号(昭和62年度)(PDF:3、485KB)
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