ここから本文です。
令和4年9月14日
みなさん、ホオノキをご存知でしょうか。北海道から九州にかけ広く分布するモクレン科(コブシやユリノキなどを含む)の落葉性高木(写真1)で、日本に自生する広葉樹の中では最大級の葉(長さ20~40cm、写真2)をつけます。この葉は、丈夫で香りも良く防腐効果があるため食品を「包む」のに使われることから、ホオノキの名前は「包:ホウ」に由来するともいわれています。
わたしたち林木育種センターでは、ホオノキを含め、いろいろな樹木の種子を遺伝資源として保存していますが、その際には、発芽率ができるだけ高くなるなど適切な時期を選んで採取することが重要です。ホオノキの種子は、赤い果実が色あせ始める9月から灰色に変わり鳥に狙われる前の10月まで採取できますが、その中でもいつ採るのが最適なのでしょうか。この期間中、種子の発芽率(蒔いた種子から芽がでる割合)は遅くなるほど高くなることが知られています。そこで、発芽率の高い種子が詰まった果実の判定基準を決めるため、9月中旬と下旬に採取した果実の外観と種子の発芽率との関係を調べました。
果実は、中旬では赤い部分が多く中に種子がしっかりと詰まっている状態で、下旬では灰色の部分が多く中から種子が飛び出しそうな状態でした(写真3)。種子の発芽率は、中旬では6%、下旬では43%とこれまでに知られているように採取時期が遅い方が高い傾向が認められました。適期は地域によって変動することも考えられますが、関東地方においては果実の色の変化を見ながら鳥に狙われて種子が無くなってしまう前の9月下旬から10月上旬にかけて収集すれば、発芽率の高い種子が保存できると考えています。
(遺伝資源部 探索収集課)
写真1 育種センター内のホオノキ 写真2 葉 写真3 果実と種子 左:9月中旬に採取 右:9月下旬に採取 |
ホオノキの種子(タネ)はいつ採ればいい?(PDF:519KB)