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令和4年11月9日
去る令和4年10月26日から28日にかけて農林水産省主催の「アグリビジネス創出フェア2022」が東京ビッグサイトにて行われ、森林総合研究所森林バイオ研究センターが統括している「薬用系機能性樹木の栽培と利用のための研究開発プラットフォーム」(「知」の集積と活用の場®︎)より『国産のつる性薬用樹木「カギカズラ」の生産技術の開発と機能性解明に基づく未利用資源の活用』というタイトルで出展しました。
カギカズラはアカネ科のつる性木本植物で、枝は釣藤鈎(チョウトウコウ)と呼ばれる生薬として、ストレス・認知症周辺症状・高血圧随伴症状に緩和効果のある漢方薬の原料として利用されています。日本にも自生しているものの、その利用はなく、現在は100%が中国産です。国内での安定供給体制を確立する目的で、生研支援センターのイノベーション創出強化研究推進事業としてプロジェクトを令和2年に立ち上げました。このプロジェクトは、苗木生産から栽培・収穫・加工調整法の開発、機能性成分の評価、国産漢方薬の開発、未利用部位である葉の製茶化など、川上から川下まで一貫した生産・流通体制を構築しようとするものです。今年度、現在の研究ステージが終了する節目の年度ということで、これまでの森林総研ブースの一角ではなく、初めて独自の展示ブースを設けて研究成果を紹介しました。
展示ブースにはカギカズラの苗木や組織培養、エチレンを使った葉の除去法の紹介、国産生薬や茶葉の試作品を展示しました。コロナ渦にもかかわらず、3日間でおよそ250名の方にブースへお越しいただき、普段あまり目にしない薬用植物について大変興味深く話を聞いていただきました。また、複数の方から実際に栽培してみたいというお声をいただきました。今フェアを通じてプロジェクトの輪がさらに広がっていくことを願っています。
(本研究は生研支援センターのイノベーション創出強化研究推進事業「国産のつる性薬用樹木カギカズラの生産技術の開発と機能性解明に基づく未利用資源の活用」の成果です)
(森林バイオ研究センター)
展示ブースの様子 | 組織培養や葉の除去法の紹介(上) 国産生薬や茶葉の試作品(下) |
アグリビジネス創出フェア2022へ出展しました(PDF:425KB)