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令和6年2月28日
令和6年2月1日(木曜日)、令和5年度林木育種成果発表会を開催しましたので、その概要をご紹介します。
今年度もオンラインでの開催とし、国、都道府県、民間企業や研究所等から、229名の方の申込みがありました。
発表会は、京都大学大学院農学研究科の小野田雄介教授の特別講演、神奈川県自然環境保全センターの齋藤央嗣主任研究員の特別報告に続いて、林木育種センター・育種場・森林バイオ研究センターの各研究者から研究成果を発表しました。
京都大学大学院農学研究科 小野田教授 | 「樹木の成長解析と林木育種への応用」 |
神奈川県自然環境保全センター 齋藤主任研究員 | 「神奈川県の花粉症対策と林木育種の取組」 |
○令和5年度の品種開発
育種部 育種第一課 育種調査役 大平 峰子
○スギにおけるエリートツリー等の原種増産技術の開発
育種部 育種第二課 課長 田村 明
○関西育種場におけるヒノキさし木品種開発に向けた取組
関西育種場 育種課 課長 磯田 圭哉
○九州地方におけるマツノザイセンチュウ抵抗性育種の取組
九州育種場 育種課 育種研究室 育種研究室長 松永 孝治
○絶滅危惧種オガサワラグワ自生地の更新実生の種・雑種判別-外来種シマグワ駆除に向けた小笠原支庁との取組-
遺伝資源部 保存評価課 特性評価研究室 主任研究員 玉城 聡
○ゲノム編集による無花粉スギの開発とその展望
森林バイオ研究センター 森林バイオ研究室 主任研究員 七里 吉彦
特別講演の小野田教授からは、樹木の成長速度の違いを理解するための解析フレームワークとその実用例から若⽊と成⽊の空間利⽤効率には相関が⾒られ、若⽊の段階で、適切に空間利⽤効率を評価することは、若齢選抜において重要だと思われる等のお話がありました。
特別報告の齋藤主任研究員からは、花粉症対策品種の普及に向けて無花粉スギ「田原1号」を選抜したこと、ヒノキ林から無花粉ヒノキを全国で初めて発見し「丹沢 森のミライ」を選抜し品種登録を行い、苗木生産を開始したことなど神奈川県の林木育種の取組についてご紹介いただきました。
また、当センター研究者の発表概要は次のとおりです。
大平育種調査役から、令和5年度の品種開発について説明し、今年度は花粉症対策品種4品種など30品種を開発したこと、また、初期成長に優れた第二世代品種については、スギにおいて実生検定林からの後方選抜により初めて品種を開発したことについて発表を行いました。
田村育種第二課長から、2050年までに林業用苗木の9割以上をエリートツリーにする目標を達成するため、原種苗木を、短期間に大量に生産・配布するための原種苗木増産技術の開発について発表を行いました。
磯田育種課長から、多様なヒノキのさし木品種を開発することを目的に関西育種場で実施してきたヒノキ精英樹及び第二世代精英樹候補木の発根性の調査や、さし木発根率と苗木の形状の評価等について発表を行いました。
大平育種調査役「令和5年度の品種開発」 |
松永育種研究室長から、マツノザイセンチュウ抵抗性育種の事業・研究を進める中で明らかとなってきた、第ニ世代品種の実生苗における抵抗性の改良効果についての報告及び第二世代品種採種園の植栽配置の設計プログラムの開発等について発表を行いました。
玉城主任研究員から、フローサイトメトリー解析を使った弟島のオガサワラグワ自生地に発生した実生の種・雑種判別について、東京都小笠原支庁と共同で実施した取組について発表を行いました。
七里主任研究員から、現在のゲノム編集無花粉スギの開発状況と、はさみタンパク質そのものを直接細胞に導入する新しいゲノム編集技術について発表を行いました。
松永育種研究室長の「九州地方におけるマツノザイセンチュウ抵抗性育種の取組」 |
林木育種成果発表会には、今年度も多くの方々にご参加いただきました。
林業の成長産業化、地球温暖化対策、花粉症発生源対策などについて、林木育種に対する社会的ニーズが益々高まってきています。今後も更なる広報活動に努め、より多くの皆様に当センターの研究成果をお届けできるよう取り組んでまいります。
なお、本成果発表会の様子は「林木育種情報No.45(令和6年3月発行)」でもご紹介いたします。
(企画部 育種企画課)
令和5年度林木育種成果発表会を開催しました(PDF:638KB)
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