令和3年度林木育種成果発表会を開催しました

令和4年2月18日(金)、令和3年度林木育種成果発表会を開催しました。今年度も新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からオンラインでの開催としたところ、国、都道府県、民間企業や研究所等から、約300名の方の申込みがありました。

当日は、東京大学大学院農学生命科学研究科の丹下健教授から、｢森林資源造成の課題と林木育種への期待｣と題した特別講演、また、東京都農林総合研究センターの中村健一室長から、｢東京都における花粉症対策試験の取組｣と題した特別報告をそれぞれいただきました。

特別講演の丹下健教授からは、今後の林木育種では、収穫時の木材需要を考えていく必要があり、より強度の大きい・材比重の高い樹種・系統や、燃料利用に適したもの、シカ等による食害を受けにくいもの等が求められるのではないか、といった話がありました。また、特別報告の中村室長からは、少花粉ヒノキミニチュア採種園から安定的に種子を生産することを目的に、小型の少花粉ヒノキの着花促進手法や剪定方法などの試験の取組について、説明していただきました。

続いて、林木育種センター・森林バイオ研究センター・育種場の研究者等から、「令和3年度の品種開発」、「スギのコンテナ苗育成技術の開発」、「原種苗木増産に向けた効率的なカラマツつぎ木技術の開発」、「関西育種基本区におけるエリートツリー等の特性について」、「林木遺伝資源の特性評価－ヒノキ精英樹における薬剤感受性の評価について－」、「気候変動への強靱性を目指して～ケニアにおける耐乾燥性樹種改良の10年とこれから」、「木質形成の解明に向けた基礎的アプローチ～隣り合う細胞が辿る異なる運命～」、の7課題についてそれぞれ発表しました。

発表後の質疑応答では、耕作放棄地に樹木を植栽することについての考え方や、無花粉スギの植栽見通し、少花粉ヒノキ採種園の剪定後の伸長量に施肥条件やクローンによる差があるのか、カラマツ穂木を貯蔵する方法の雪埋蔵に当たっての注意事項などについて質問がありました。

今日、林業の成長産業化、地球温暖化対策、花粉発生源対策などの推進に当たって、林木育種に対する社会的ニーズが益々高まってきていますが、今回の発表会を通じて、森林・林業・木材産業全体を見通した上で育種を考えていかなければならないということを改めて認識しました。今回参加いただいた皆様からの発表に対するご意見等も踏まえながら、次のステップに向けてさらに研究開発を進めて行く考えです。

（東京大学大学院　丹下教授）	（東京都農林総合研究センター　中村室長）

令和3年度林木育種成果発表会の開催について

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※発表題名については、変更となる可能性があります。