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更新日:2019年2月26日

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周極域森林生態系において蘚苔地衣類が炭素窒素循環に果たす役割と地域間差の評価

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1.共同研究機関

アメリカ合衆国アラスカ大学フェアバンクス校および国際北極研究センター

2.研究期間

2015~2019年度 科学研究費補助金

3.責任者

森下 智陽(東北支所)

4.研究の背景

周極域の森林生態系は、気候変動の影響を受けやすく、地球上において広大な面積を占めるため、全球的な炭素・窒素収支に影響をおよぼす可能性が高いと考えられています。このような背景から、気象タワー観測や生態学的積み上げ法によって、さまざまな地域での炭素・窒素収支の観測が進められてきました。近年、周極域の森林生態系が、この厚い有機物層が樹木にとっての水分、養分供給の場となり炭素・窒素蓄積量やそのプロセスに影響を与えていることが報告され始めています。さらに生態系内で生成している植物由来の二次代謝物質が生態系の炭素・窒素循環に影響をおよぼしていることが明らかになってきています。

しかし林床において厚い有機物層を形成する蘚苔地衣類の炭素・窒素収支への寄与、そして生態系制御機構については、一口に周極域の森林生態系といっても、気候、樹種、土壌環境、林床の蘚苔地衣類が異なり、これらの違いは成長速度や生成する二次代謝物質の種類にも影響するため、地域間差に関する研究は進んでいないのが現状です。

5.研究の目的

周極域の森林生態系の中でも、気候、植生、土壌環境が大きく異なる4地域を対象として、現地観測および室内実験から以下の3点を明らかにすることで、蘚苔地衣類による生態系炭素窒素動態の地点間差を解明します。

(1)各生態系の林床を構成する蘚苔地衣類のパターンの地域間差
(2)林床の蘚苔地衣類による年間生成量(炭素・窒素蓄積量)の評価
(3)蘚苔地衣類が生成するテルペン類の同定と炭素・窒素の蓄積への促進・阻害効果

6.研究内容

周極域の森林生態系のうち、ヨーロッパアカマツ(北欧東部)、カラマツ(中央シベリア)、クロトウヒ(アラスカ内陸部)、ジャックパイン(カナダ北西部)の林、およびそれぞれの地域の広葉樹林(ポプラ、カンバ)を研究対象地として下記の研究を進めます。

(1)各生態系を構成する蘚苔地衣類のパターンおよび有機物層の地域間差の解明
蘚苔地衣類の同定、被覆率および現存量調査を行い、有機物層の構成種と厚さの空間分布を把握します。

(2)主要な蘚苔地衣類の年間生成量と地域間差の評価
観測地の林床を構成する蘚苔地衣類の年間生成量を複数の方法で観測します。

(3)蘚苔地衣類の二次代謝物質による炭素・窒素循環速度への促進(阻害)効果の評価
同定した二次代謝物質の添加による有機物・土壌層の分解速度や窒素無機化速度を測定します。

 

周極域森林生態系の林床と様々な蘚苔地衣類の写真
周極域森林生態系の林床と様々な蘚苔地衣類

 

7.期待される研究成果

本研究の実施により、下記の成果が期待されます。

(1)主要な蘚苔地衣類についてそれぞれの年間生成量とその影響因子との関係が明らかになります。
(2)周極域 森林生態系の炭素窒素動態プロセスメカニズムの解明を進める上で重要な新たな物質の発見につながり、さらにその物質が炭素・窒素循環プロセスにおよぼす影響の大きさが明らかになります。
(3)周極域の森林生態系を俯瞰して、炭素・窒素動態における蘚苔地衣類の役割が明らかになります。

お問い合わせ

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