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更新日:2020年9月28日

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自然環境下のオゾン濃度の漸増が熱帯季節林の水利用効率に及ぼす影響の解析

青い空の下に緑の林冠が続く写真

1.共同研究機関

カンボジア王国森林局(Forestry Administration, Cambodia)

東京大学
九州大学
大阪府立大学

2.研究期間

2020~2023年度 JSPS科研費

3.責任者

清水 貴範(森林防災研究領域)

4.研究の背景

二酸化炭素(CO2)と対流圏のオゾンの濃度は、緩やかに増加を続けています。CO2濃度の増加に伴って、森林生態系の水利用効率が上昇することは、世界各地の森林でのCO2交換量観測から実証されつつあります(Ueyama et al., 2020)。一方、オゾン濃度の増加は、植物の水利用効率の減退を引き起こすことが知られています。しかし、全球で排出される炭素の20%以上を吸収する熱帯林で、オゾン濃度の増加が生態系の水利用効率にどのような影響を及ぼすのかは、明らかにされていません。熱帯季節林は、近年の人為的な開発によって消失が懸念されていますが、今後もその温室効果ガス吸収機能を健全に維持していくためには、生態系の水利用効率に対するCO2およびオゾンの相反する作用を、定量的に評価する必要があると考えられています

5.研究の目的

熱帯の乾燥常緑林を対象に、1)網羅的な観測に基づいて、水利用効率に関わる変動過程を詳細に把握し、さらに、2)期間中に取得したデータを解析し、CO2およびオゾン濃度の漸増が森林の水利用効率に及ぼす影響を予測する手法を開発することが、本研究の目的です

6.研究内容

  • 森林生態系の水利用効率を算出するために、森林樹冠上でCO2/H2O交換量観測とオゾン濃度の観測を行います。観測システムは、先ず国内の試験地でテストを行った後、カンボジア国の乾燥常緑林に適用を試みる予定です。
  • 合わせて、カンボジア国の乾燥常緑林では、微気象要素、水収支、炭素収支に関わる諸量の観測を、可能な限り網羅的に実施します。
  • これらのデータを集積し、オゾン濃度上昇による水利用効率への影響の抽出を試みるとともに、水利用効率を将来予測するためのモデルパラメータを決定していきます。

 

タワーから林冠上につきだした棒に白いセンサーがついている写真
常緑林林冠上の日射センサー

上下に向き合う3本金属のセンサーの写真
常緑林林冠上の超音波風速計

 

7.期待される研究成果

東南アジアの乾燥常緑林を対象とした観測とそれに基づく解析によって、本研究では

1)生態系の蒸発散量や詳細な水収支、CO2交換量、およびオゾン濃度の変動過程が高精度で解明されていきます。

2)漸増するオゾンに対する生態系の反応特性が判明し、熱帯林でのCO2・オゾン濃度変動と水利用効率との関係を解析・予測するための手法の構築が期待できます。

8.研究論文

(関連する成果)Ueyama, M., Ichii, K., Kobayashi, H., Kumagai, T., Beringer, J., Merbold, L., Euskirchen, E., Hirano, T., Belelli M. L., Baldocchi, D., Saitoh, T., Mizoguchi, Y., Ono, K., Kim, J., Varlagin, A., Kang, M., Shimizu, T., Kosugi, Y., Bret-Harte, M., Machimura, T., Matsuura, Y., Ohta, T., Takagi, K., Takanashi, S., Yasuda, Y. 2020. Inferring CO2 fertilization effect based on global monitoring land-atmosphere exchange with a theoretical model. Environmental Research Letters, https://doi.org/10.1088/1748-9326/ab79e5.

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