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更新日:2022年9月30日
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森林研究・整備機構は、森林・林業・木材産業に係る研究開発や林木育種、水源林造成、森林保険が主な業務であり、調査・研究・技術開発によって森林・林業・木材産業に新たな価値を生み出し、社会の発展に貢献しています。
しかしながら、これらの業務を進める上でも、多くのエネルギーや資源を投入し、環境負荷の原因となる物質が排出されます。
このため、環境負荷の実態を正確に把握し、環境への負荷の軽減と良好な環境の創造への貢献に向け、たゆまない努力を続けていきます。
2021(令和3)年度の物質収支(インプット、アウトプット)
※1:J(ジュール)はエネルギー量の単位で、1Jは0.239cal(カロリー)、1TJ(テラジュール)は1兆Jです。
※2:BOD(生物化学的酸素要求量)は、実験廃水処理施設(つくばのみ設置)からの排水量に、排水時のBOD実測濃度の年間平均値を乗じて算出しました。
森林研究・整備機構のエネルギーの7割を使用している森林総合研究所(つくば)は、エネルギーの使用の合理化等に関する法律に基づく「事業者クラス分け評価制度」※において、省エネ優良事業者として、2015(平成27)年度より引き続きSクラスの評価を受けています。
※「事業者クラス分け評価制度」とは、資源エネルギー庁が毎年度、省エネ法の工場等に係る措置の定期報告を提出する全ての事業者をS・A・B・Cの4段階へクラス分けし、省エネの取組が停滞しているBクラス以下の事業者に対して指導等の措置を行うものです。
エネルギー使用量を削減し、地球温暖化防止に努めるため、森林総合研究所(つくば)に省エネ・省資源対策推進委員会を設置しています。
また、その他の事業所においても、それぞれに省エネルギーに関する具体的な対応策を検討し、各種の省エネルギー対策に取り組んでいます。これらの省エネルギー対策の実施結果と次年度の目標を環境委員会に報告し、活動状況の点検を実施するなど、更なる省エネルギー対策の検討を行っています。
今後も各種省エネルギー対策の実施や施設・設備の改修及び運用改善などを行うとともに、職員の省エネルギー意識の高揚に努めるなどにより、省エネルギー対策を推進していきます。
2021(令和3)年度におけるエネルギー使用数量について、事業所ごとの使用割合としてまとめて示しました(図1)。項目別エネルギー使用量は、冷暖房・照明管理の徹底をはじめとした節電の励行などの省エネルギー対策の推進により、前年度と比較して電力は2.0%減、LPガスは17.1%減、灯油は1.2%減、軽油は3.0%減となり、機構全体の総エネルギー使用量は、対前年度比0.6%(1.1テラジュール)の減少となりました(表1、図2)。
なお、都市ガスとA重油の使用量が増加した理由は、厳冬による暖房運転の増加によるものと考えられます。ガソリンが増加した理由は、新型コロナウイルス感染予防対策により2020(令和2)年度は控えていた出張を2021(令和3)年度は再開したことにより、事業用車の利用が増えたことが考えられます。
2013(平成25)年度比で8%削減の目標に対し16.5%の削減となり、目標を達成しました。(図2)
今後も引き続き、室内温度管理の徹底により冷房運転時間及び暖房運転時間を短縮するなど、日常的な省エネルギーの取組に努めるほか、空調機器等の改修による省エネルギー化を計画的に実施するなどにより、エネルギー使用量の削減に努めていきます。
図1 2021(令和3)年度の事業所ごとのエネルギー使用数量割合
項目 | 単位 | 2013年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2021年度/2020年度 | 増減 |
電力 | kWh | 16,028,132 | 14,926,858 | 14,146,349 | 13,940,415 | 13,661,788 | 98.0% | △2.0% |
都市ガス | m3 | 1,258,548 | 955,389 | 986,818 | 940,978 | 975,169 | 103.6% | +3.6% |
LPガス | m3 | 1,345 | 1,085 | 960 | 1,099 | 911 | 82.9% | △17.1% |
灯油 | リットル | 48,672 | 48,672 | 52,105 | 59,158 | 58,462 | 98..8% | △1.2% |
A重油 | リットル | 126,000 | 57,700 | 67,700 | 68,000 | 70,500 | 103.7% | +3.7% |
ガソリン | リットル | 250,250 | 195,420 | 187,892 | 173,923 | 179,931 | 103.5% | +3.5% |
軽油 | リットル | 8,575 | 14,801 | 17,607 | 18,685 | 18,118 | 97.0% | △3.0% |
図2 総エネルギー使用量
2021(令和3)年度のCO2排出量は、前年度との比較では実排出量が3.5%(315トン)増加し、調整後排出量※は8.9%(770トン)増加となりました(図3)。
2013(平成25)年度比12.6%削減の目標に対しては、実排出量は18.9%(2,179トン)の削減、調整後排出量は16.2%(1,820トン)の削減となり、目標を達成しました。
CO2排出量が前年度と比較して増加した理由は、電力を最も多く使用する森林総合研究所(つくば)で契約している電力会社の排出係数が上昇したためと考えられます。(電力使用量は昨年度比2%減)
冷暖房・照明管理の徹底、省エネ機器・低公害車の導入並びに夏季及び冬季の節電対策等の環境負荷軽減対策に取り組み、更なるCO2排出量削減率の向上に努めていきます。
図3 エネルギー消費の二酸化炭素換算量の年推移
※「調整後排出量」は、電力に係るCO2排出量について、地球温暖化対策推進法(温対法)に基づき、京都議定書のクレジット等を実際の排出量から控除して算出した排出係数(調整後排出係数)を用いて算出しています。
2021(令和3)年度の研究開発部門における上水使用量及び下水排出量は、上水が前年度比4.5%(3,014m3)の増加、下水が前年度比4.4%(2,536m3)の増加となりました。(図4,5)
上水使用量については、2013(平成25)年度比で8%削減の目標に対し、45.8%(58,716m3)の削減となり、目標を達成しました。(図4)
前年度と比較して増加した理由は、厳冬により暖房設備で使用する上水の使用量が増加したことによると考えられます。
図4 上水使用量の年度別推移(研究開発部門)
※2013(平成25)年度は上下水道とも、配管の水漏れ等があり実績数量が多くなっている。
図5 下水排水量の年度別推移(研究開発部門)
2021(令和3)年度のコピー用紙使用量(購入量)は、前年度比で11.1%(4,911kg)の削減となりました(図6)。
2013(平成25)年度比で7%削減の目標に対し、23.2%(11,828kg)削減となり、目標を達成しました。
図6 コピー用紙使用量の年度別推移
2021(令和3)年度の研究開発部門における廃棄物の排出について、一般廃棄物・産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の合計で、2013(平成25)年度比8%の削減を目標としていましたが、66.9%(122.4トン)の増加となりました。増加した主な要因としては、一部の出先機関にて約10年分の木くず(枝・葉・根株)を1度に処理したこと等が考えられます。前年度比では25.4%(104.2トン)の削減となりました(図7)。
研究開発部門から排出される廃棄物を削減するため、支障木の伐採や剪定の過程で発生する小径木、枝などを薪、ペレットに加工し、木質バイオマスエネルギーとして森林総合研究所(つくば)、関西支所、多摩森林科学園に設置した薪ストーブ、ペレットストーブで利用しています(写真1)。また、一部の出先機関では伐採した樹木を、一般の方へ薪燃料や園芸用等、自家消費に使用される方を対象に無償提供という形で対応できるか検討しています。
職員用食堂から排出される生ゴミは生ゴミ処理機で堆肥化するなど、資源の再利用に努めています。さらに、可燃ゴミを減らすため、コピー用紙類の使用量削減とともに、古紙回収をはじめとしたゴミの分別・再資源化の徹底に努めています。
図7 廃棄物排出量の年度別推移(研究開発部門)
写真1 ペレットストーブ(森林総合研究所関西支所)
森林研究・整備機構は、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年制定)」(以下「グリーン購入法」という。)を推進するため、2001(平成13)年度より「環境物品等の調達の推進を図るための方針(調達方針)」を毎年度定め、環境への負荷の少ない物品の調達を積極的に進めています。
森林研究・整備機構が調達する物品は、「特定調達物品※」を原則としています。「特定調達物品」以外の物品の場合も、エコマークの認定を受けているなど、環境に負荷の少ないものを調達するよう努めます。
OA機器・家電製品の調達では、より消費電力が小さく、かつ再生材料を多く使用しているものを調達するよう努めます。また、木材・木製品やバイオマス製品について率先して調達するよう努めます。
各特定調達品目に関する調達については、調達目標値を100%と設定しました。一部については機能・性能上の必要性により、基準を満たさない物品を調達せざるを得なかったものもありましたが、これらを除いては目標値を達成しました。(表2)
なお、特定調達率が100%に達していない品目については、グリーン購入法の趣旨を職員へ徹底し、引き続き環境物品等の調達に努めます。
分野 | 品目 | 総調達量 | 特定調達物品等 | 特定調達率 |
紙類 | コピー用紙 | 39,172kg | 39,172kg | 100% |
トイレットペーパー | 2,331kg | 2,280kg | 98% | |
文房具 | シャープペンシル | 309本 | 309本 | 100% |
ボールペン | 1,051本 | 991本 | 94% | |
スタンプ台 | 70個 | 70個 | 100% | |
消しゴム | 479個 | 479個 | 100% | |
ステープラー | 100個 | 100個 | 100% | |
ファイル | 23,532冊 | 22,733冊 | 97% | |
事務用封筒 | 76,850枚 | 76,850枚 | 100% | |
パンチラベル | 18個 | 18個 | 100% | |
オフィス家具等 | いす(実験用を含む) | 230脚 | 221脚 | 96% |
机(実験用を含む) | 101台 | 94台 | 93% | |
OA機器 | コピー機(リース) | 2台 | 2台 | 100% |
シュレッダー | 7台 | 5台 | 71% | |
一次電池又は小形充電式電池 | 11,302個 | 11,144個 | 99% | |
自動車等 | 自動車リース・レンタル | 66台 | 48台 | 73% |
役務 | 印刷 | 91件 | 87件 | 96% |
会議運営 | 77件 | 77件 | 100% |
実験室等で薬品を使用した場合に生じる排出水は、実験原廃水として2次洗浄水まではポリ容器に貯留し、3次洗浄水以降の排水が実験流し台から下水管に排出されます。ポリ容器に貯留した廃水は、処理業者に委託して処理を行っています。
3次洗浄水以降は下水として排出されますが、森林総合研究所(つくば)の場合は実験系の廃水の量や薬品の使用量が多いため、廃水処理施設を設けています。研究室から流された3次洗浄水以降の廃水は実験排水管を経由し、一旦、廃水処理施設の原水貯留槽に貯留され、水質分析を行います。水質汚濁防止法、下水道法、つくば市下水道条例に基づく排水基準値内であることを確認後、公共下水道に放流しています。
なお、分析の結果、基準値を超えた場合には、廃水処理施設を運転して処理を行い、再度水質分析を行った上で、基準値内であることを確認してから放流しています。
実験廃水の公共下水道までのフロー
研究開発部門では、研究活動を推進する上で様々な実験を行っているため、多くの化学物質を使用しています。したがって、化学物質を適正に管理するとともに、労働安全衛生の確保、環境汚染の未然防止、環境負荷の低減を図ることは、私たちにとって重要な社会的責任です。
このため、化学物質等管理委員会や安全衛生委員会、危険物貯蔵所運営委員会等を設置し、関係法令の遵守や適正な取扱い・管理に向けた取組を推進しています。具体的には、化学物質管理システムを使用した化学物質の適正な使用数量等の管理を行い、化学物質の取り扱い時に守るべき事項等について、イントラネット※に各種情報や注意点を掲載するなど定期的な注意喚起を行っています。
また、職場点検・職場懇談会での安全確認や、イントラネットに開設している安全衛生関連ウェブサイトにて「化学物質の取扱い」について指導するとともに、リスクアセスメントを実施するなど化学物質の適正な管理・取扱いの徹底を図っています。
※企業などの組織内だけで構築された限定的な範囲で利用するネットワーク環境です。
「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(PRTR法)に基づき、毎年、特定化学物質の取扱量の把握を行っています(表3)。
PRTR制度の対象となる化学物質は、「第1種指定化学物質」として定義されています。具体的には、人や生態系への有害性(オゾン層破壊性を含む)があり、環境中に広く存在する(暴露可能性がある)と認められる物質として、計462物質が指定されています。そのうち、発がん性、生殖細胞変異原性及び生殖発生毒性が認められる「特定第1種指定化学物質」として15物質が指定されています。
2021(令和3)年度に取扱いのあった第1種指定化学物質は、研究開発部門で122物質(うち特定第1種指定化学物質:7物質)、取扱総量は機構全体で1,965kg(うち特定第1種指定化学物質:49kg)でした。一定量を超えた場合には、事業所ごとの届出が必要となりますが、取扱量の多い森林総合研究所(つくば)でも第1種指定化学物質は総量605kg(いずれかの第1種指定化学物質1トン以上で届出が必要)、特定第1種指定化学物質は総量38kg(いずれかの特定第1種指定化学物質0.5トン以上で届出が必要)で、いずれも届出の対象とはなりませんでした。
物質名 | 2016(平成28)年度 | 2018(平成30)年度 | 2019(令和元)年度 | 2020(令和2)年度 | 2021(令和3)年度 |
ダゾメット | 556 | 617 | 622 | 376 | 508 |
トルエン | 197 | - | 86 | 124 | 168 |
キシレン | 119 | - | - | 118 | 140 |
アセトニトリル | - | 99 | 121 | 111 | 57 |
ノルマン-ヘキサン | 85 | 80 | 96 | 108 | 149 |
マンセブ | - | - | 71 | - | - |
トリクロロニトロメタン | - | 147 | - | - | - |
ジクロロメタン | - | 68 | - | - | - |
クロロホルム | - | - | - | - | - |
フェニトロチオン | - | - | - | - | - |
N,N-ジメチルホルムアミド | 80 | - | - | - | - |
単位:kg
環境配慮基本方針における「日常生活における環境配慮」の一環として、最も身近な環境である職場の美化活動を通じて、全ての役職員の環境配慮に関する意識の向上を図ります。また、環境省が提唱する「環境月間」に合わせて、環境意識の向上や省エネ等更なる環境に配慮した取組を推進します。具体的には、構内道路・植え込み・建物周辺の清掃、研究室等で発生した不要物品などの整理等に取り組んでいます。
今後も、環境美化活動を推進し、環境配慮への意識向上に努めていきます。
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構外の清掃(多摩森林科学園) | 構内の清掃(森林総合研究所(つくば)) |
森林研究・整備機構では、2015(平成27)年9月に「地球環境に優しい木材利用モデル事業所宣言」を行って以来、施設等の内装・外装、オフィス家具等だけではなく、薪・ペレットストーブの導入などあらゆる面で木材の活用を行ってまいりました。同宣言から6年目を迎えた2021(令和3)年の取組を紹介します。
森林総合研究所では、施設の一部を木質化することとして、廊下の壁面に腰壁として国産ヒノキの板を設置しました(写真2)。なお、設置に当たっては、一部の板に木の変色を抑制して美観維持に効果があるセルロースナノファイバー※配合塗料(当機構と民間企業の共同開発)を塗りました。このほか、来訪者や職員が利用する自動販売機において、間伐材を含む国産材を30%以上使用している紙製の飲料缶「カートカン」飲料を導入しました。
一方、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、人が密になる状況を回避する目的で、様々な会議がオンラインで実施されるようになり、一部会議室では利用環境を整える改修が必要となりました。森林整備センターでは、打合室でオンライン会議を実施できる設備を整えるとともに、国産スギを用いたテーブルや棚等を設置しました(写真3)。このほか、間伐材の衝立や事務机間の仕切りなどで木材を利用しました(写真4)。
このように、来訪された皆様に木の良さを感じていただく環境づくりに取り組んでいます。
当機構では、これからも引き続き、モデル事業所として木材利用を積極的に進めるとともに、地球温暖化防止の観点からも社会に貢献できるよう努めてまいります。
※木材の主成分のひとつであるセルロースの繊維構造を活かして、ナノサイズにまでほぐした新素材。軽くて強度があり、高い粘性や低熱膨張性といった特徴があります。
写真2 廊下壁面の腰壁としてヒノキを使用
写真3 打合室にスギのテーブルや棚などを設置
写真4 衝立として使用
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