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更新日:2022年9月30日
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森林研究・整備機構は、環境に関連した数多くの業務を行っており、これらの成果の広報活動に力を入れています。また、いただいたご意見等を業務の運営に反映させるよう双方向のコミュニケーションにも努めています。さらに、市民や次世代を担う子どもたちへの環境教育にも力を入れています。これらの環境コミュニケーションについて紹介します。
森林研究・整備機構では、一年を通してさまざまな行事・イベントを企画し、地域内外の皆様とコミュニケーョンを深めています。また、地域や団体からの要請に応じて各種の出展を行っています。
しかし、2021(令和3)年度は2020(令和2)年度と同様、新型コロナウイルスの影響により以前の実施方法では行えない行事・イベントが多くありました。ただ、その反面、インターネットを利用した講演会や一般公開、またYouTube「森林総研チャンネル」での動画配信など、新しい技術を用いることで時間や場所に縛られず実施出来るようにもなりました。これからも新型コロナウイルス感染症の社会状況を見ながら、より良い方法で行事・イベントを実施していきます。
森林研究・整備機構の各拠点で一般公開を実施しています。地域によっては支所・育種場・整備局が共催し、例年多くの市民のみなさまに見学頂いています。
しかし、2021(令和3)年度は2020(令和2)年度と同様、新型コロナウイルスの影響により以前の実施方法では行えない拠点が多くありました。
森林総合研究所(つくば)では例年10月に公開講演会を開催していますが、2021(令和3)年度は2020(令和2)年度に引き続き、新型コロナウイルスの影響により会場での開催は取りやめ、YouTube「森林総研チャンネル」でのライブ配信を行いました。
2021(令和3)年度はテーマを「伝えたい!森の中の放射性セシウムー10年で明らかになったことー」とし、10月16日(土曜日)午後にライブ配信を行い、同時視聴者数は最大で216名となりました。その後、同チャンネルにて動画を配信しました。
中西友子氏(星薬科大学学長・東京大学特任教授)による招待講演「農林水産業・環境への影響」の後、森林総合研究所の研究員による森林の放射能に関する研究成果の発表を行いました。2011年3月11日に東日本大震災が発生、その後に東京電力福島第一原子力発電所事故が発生し社会が大混乱に陥る中で、森林総合研究所は5月早々に森林の放射能汚染に関する研究プロジェクトを立ち上げました。10年という節目の年にそれらに関する調査結果を市民のみなさまへお伝えすると共に、これからも引き続き調査していくことを表明しました。
ライブ配信講演以外にも本イベントの紹介ウェブページにおいて、さまざまな研究員による森林の放射能に関する調査の動画を配信しました。林木育種センター、森林整備センター、森林保険センターによるコンテンツも同じウェブページにて公開しました。
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中西友子氏:招待講演「農林水産業・環境への影響」 | |
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総合討論 |
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オンライン発表を行っている発表者 | オンライン開催の様子 |
2021(令和3)年11月16日に、ゲノム編集技術を活用した無花粉スギの研究開発現場の見学や、開発者との意見交換を行うことを目的とした見学会が、森林総合研究所林木育種センター・森林総合研究所森林バイオ研究センターで開催されました。本見学会は農林水産省の2021(令和3)年度農林水産研究推進事業(アウトリーチ活動強化)の一環として、一般公募したモニター21名を対象として実施されました。
ゲノム編集技術は特定の遺伝子を狙って突然変異を起こすことにより、もとの性質を改変する新しい技術で、2020年には本技術の一つである「CRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)」を開発した、エマニュエル・シャルパンティエ氏とジェニファー・ダウドナ氏がノーベル化学賞を受賞しています。森林総合研究所森林バイオ研究センターではこのゲノム編集技術をスギへ活用し、花粉を作る遺伝子に突然変異を起こすことで、花粉のできない無花粉スギを開発する研究に取り組んでいます。
当日はゲノム編集無花粉スギの開発内容について、従来の育種による方法との違いを交えながらスライドを用いて説明し、ゲノム編集や組織培養を行う実験施設、ゲノム編集無花粉スギを栽培するための温室や野外栽培施設のほか、従来の育種により林木育種センターが開発した無花粉スギ品種「爽春(そうしゅん)」やエリートツリーを見学いただきました。意見交換会では、「ゲノム編集無花粉スギの今後の開発スケジュールはどうか」、「ゲノム編集で無花粉化以外にもできることはないか」、「今後も適宜情報発信をしてほしい」等、様々な質問や要望が寄せられました。また、見学会終了後のアンケート調査では、ゲノム編集に対する印象が肯定的だった方の割合が見学会参加前後で71%から95%に向上した他、「実際の研究現場を見たり、研究者と直接対話することでリアリティが湧き、より理解が深まる」といった感想を多くいただき、このような見学会を実施する重要性を改めて感じました。
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研究内容を紹介している様子 | 組織培養しているゲノム編集スギの見学 | 温室で栽培しているゲノム編集無花粉スギの見学 |
川崎市に拠点がある森林整備センター及び森林保険センターは、2021(令和3)年12月11日(土曜日)に令和3年度川崎駅前優しい木のひろば実行委員会が主催した「令和3年度川崎駅前優しい木のひろば」に出展しました。
このイベントは、森林環境税の創設を機に“木の良さ”や“木材利用の意義”などを紹介し、木に親しんでもらうものでラゾーナ川崎プラザを会場として地方自治体や企業など15団体がワークショップや展示ブースを設置しました。当日は、子供から大人まで幅広い世代が楽しめる体験コーナーが数多く用意され、木に親しむ多くの人達で賑わいました。
当日は新型コロナウイルス感染防止対策として消毒薬を準備して臨みました。森林整備センターと森林保険センターは共同ブースを設け、水源林造成事業や森林保険の取組を紹介するパネル展示や、「木のうちわ・木のコースターの色塗りコーナー」のワークショップを実施し、約300名の方にご参加いただきました。今後も、このような機会を通じ、都市住民の皆様に当センターの事業や森林整備の重要性についてご理解いただけるように努めてまいります。
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森林整備センターと森林保険センターのワークショップ | 木のうちわと木のコースター |
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参加者が使用するペンの消毒 | マスクと消毒薬を備えて日没まで参加 |
森林保険センターでは、パンフレットや広報誌、ウェブサイト等を通じて森林保険や森林保険センターの取組に関する情報をお届けしていますが、新たな情報発信手段として、Facebookを2021(令和3)年度に開設しました。
今後も、より多くの人に森林保険について知っていただけるよう、親しみやすく、わかりやすい情報を提供していきます。
森林保険センターFacebook
https://www.facebook.com/shinrinhoken/
2020(令和2)年度にYouTube「森林総研チャンネル」(外部サイトへリンク)を開設しました。2021(令和3)年度は講演会、イベント、研究紹介など73本の動画配信を行いました。今後もわかりやすい動画を配信していきます。
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木の酒 | マツ枯れの線虫接種試験 |
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森林整備センター | 森林保険 |
イベント・見学等に参加いただいた方からの感想をご紹介します。(原文掲載)
2021(令和3)年度は、2020(令和2)年度に引き続き新型コロナウィルス感染症対応として視察・見学者の受け入れに際し、手指の消毒、マスク着用及び密にならないよう、また事前予約制度・人数制限を設けるなどの対策を行いました。全拠点が各地域において発出された新型コロナウイルス対応の特別措置法にて制限を設けた結果、当年度の視察および見学者は研究開発部門で19,208名となり、例年と比較し大幅に少なくなりました。
森林研究・整備機構は、NPO法人との連携を積極的に進めています。
森林総合研究所が2021(令和3)年度にNPO法人から依頼された調査、講師派遣等は、28団体、125件でした。依頼は全国から寄せられており、内容は自然保護や環境保全に関するものが中心であり、この分野への関心の高さが伺えます。
当機構の活動を広く知っていただくため、刊行物の発行に力を入れています。省資源化・利便性向上などの観点からオンラインジャーナル化に努めています。
研究開発部門からの定期刊行物は、広報誌「季刊森林総研」(年4回、各8,000部)、研究成果を掲載した「森林総合研究所研究報告」(年4回、各1,250部)、「林木育種情報」(年3回、各3,700部)など23誌で、延べ79,597部を発行しました。その他、「クビアカツヤカミキリの防除法」など14点の非定期刊行物、各種パンフレットなども刊行しています。
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季刊森林総研 | 森林総合研究所研究報告 | 林木育種情報 |
森林整備部門では、広報誌「季刊水源林」を発行しています。水源林造成事業を一層効果的・効率的に推進していくため、より多くの国民に森林整備センターの役割や取組についての情報を発信し、意見の交換が出来る双方向のコミュニケーションツールとしていきます。
森林保険部門では「森林保険だより」(年4回、24,400部)の発行数を増加し、「森林保険通信」の配信回数も増加しました。
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森林保険だより | 森林保険通信 |
一般の方や関連企業、行政、報道機関の方々から寄せられる様々な問い合わせに対して、科学的、技術的な面から的確に対応するよう努めています。
2021(令和3)年度の森林総合研究所における問い合わせ総数は1,176件にのぼりました。内容としては、きのこを含む動植物の分類や生態、樹木の病虫害など森林生物に関するものが489件、自然災害、森林による二酸化炭素の吸収や固定など森林環境に関するものが74件、木材の加工利用や耐久性、木材成分や木質バイオマスなど森林資源の利用に関するものが306件、里山管理や森林セラピーなど森林管理に関するものが105件、地球環境に関するものが33件、その他が169件でした。そのうち、マスコミからの問い合わせは439件でした。
なお、森林研究・整備機構のお問い合わせ窓口は、下記URLよりアクセスできます。
https://www.ffpri.affrc.go.jp/frmo/contact-frmo.html
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