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森林総合研究所林木育種センター九州育種場は、加齢等で樹勢が衰えた天然記念物や巨樹・名木などで保存する価値がある樹木を対象に、母樹と同一遺伝子をもつクローン苗を増殖し、後継樹として現地に里帰りさせる「林木遺伝子銀行110番」を行っています。
令和7年3月5日、霧島神宮の「ベニシダレザクラ」と「ミクルマガエシ」の後継樹を里帰りさせましたので、増殖の経緯や里帰りの様子をご紹介します。
鹿児島県霧島市の霧島神宮には多くのサクラが植えられており、開花時期には多くの参拝の方が写真を撮るなど訪れる方を楽しませています。
このうち、今回里帰りする「ベニシダレザクラ」と「ミクルマガエシ」は国宝霧島神宮の本殿前に植栽されており、サクラの開花期にはひと際参拝者の目を引き、本殿を彩っています。「ベニシダレザクラ」は樹高約8.8m、第35回全国育樹祭が霧島市で開催された際に、昭和天皇が植樹祭へのご臨席に合わせ霧島神宮に参拝されたことから、その記念に関係者で紅白のしだれ桜を植樹したもののうちの1本。「ミクルマガエシ」は樹高約6.0m、第12代の宮司が元いた神社から取り寄せたもので京都御所に植栽されているものと同じものを植えたと伝えられています。
この2本については、令和3年7月に霧島神宮より枝が枯れるなど木が弱っているとの相談を受け、複数の太い枝が枯れるなど樹勢が弱っていると判断したため増殖を開始したものです。
その後、つぎ木による増殖を行い、今回それぞれ1本の後継樹が里帰りし、霧島神宮宮司と九州育種場長の手により境内に記念植樹されました。
2本の後継樹が大きく成育し、親木と同じく綺麗な花を咲かせることを心から願っています。
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親木左:ミクルマガエシ、右:ベニシダレザクラ | 記念植樹(左から九州育種場長、霧島神宮宮司) | 霧島神宮本殿前にて |
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