RESEARCH &
DEVELOPMENT
研究開発
脱炭素社会の実現を推進する高機能リグニン材料の開発
脱炭素社会の実現と中山間地域へのバイオ産業創出を強力に推進するため、
改質リグニンを用いたパフォーマンスの高い工業材料を製造する技術を開発し、
次世代環境適合型バイオ材料としての製品展開を可能とします。
改質リグニン
改質リグニンは「スギ」に含まれるリグニンという成分を原料としたバイオ由来の新素材です。「熱に強い」「加工しやすい」「環境にやさしい」という理想的な性質をもち、様々な製品の素材として利用できます。
リグニンは木材に3割ほど含まれており、陸上植物の細胞壁を固くしっかりした構造とするために生み出された物質です。リグニンから製造できる材料は、強固で耐熱性を示す等、高いポテンシャルを有します。しかし、環境に適応して多種多様な構造を持つリグニンは安定的に取り出すことが難しく、工業材料としての利用は困難とされてきました。
ところが、日本固有の樹木「スギ」に含まれるリグニンが安定していることが研究により発見され、それを工業材料として性質をコントロールしながら取り出す方法が開発されました。取り出されたリグニンを「改質リグニン」と呼んでいます。
また、スギのリグニンは均一で、他の樹木に比べて構造のバラツキが少ないという特徴を持ちます。スギは日本国内の樹木の中でも最も多く、林業・林産業におけるサプライチェーンも確立されており持続的に生産されています。スギを材料にすると、均一な改質リグニンを、安定して生産することが可能です。
研究コンソーシアム高機能リグニンは、
次の3つの項目で研究開発を行います。
01
地域リグニン高機能素材
供給システムの開発
地域の森林資源から改質リグニンを製造する技術を高度化し、改質リグニンのパフォーマンスを向上させ、高付加価値材料製造に適する素材として供給するシステムを開発します。
02
改質リグニン系次世代
バイオベース材料の開発
改質リグニン系スーパーエンジニアリングプラスチックなどの次世代高機能バイオベース材料を創生し、石化代替の製品展開に結び付けると共に、リサイクルにも配慮したシステム展開を可能とする技術を開発します。
03
環境適合性評価と
地域導入システムの開発
リグニン系材料の環境適合性を評価する技術を開発すると共に、副産物の利活用も進めて総合的に地域導入できるモデルを開発し、脱炭素社会の実現に向けた新産業としての評価を行います。