農林業用木炭の利用開発

野外における木炭施用土じょう中のCO2変化について

雲林院源治・杉浦銀治

要旨

 林地および工場からの残廃材利用を目的としてそれらの残廃材からつくられた木炭は、一般に炭質が不均一で、しかも灰分が多く日常の用途に用いるには適当ではない。しかしながら木炭を農林業用として土じょうに施用する場合は、大量使用が望め、また、土じょうの物理的、化学的性質の変化および微生物に対する環境調整が考えられる。しかし、これらの木炭が土じょうにあたえる影響を明らかにすることは容易ではない。そこでこの研究では、木炭施用と苗木生育との関係を現象的にとらえる目的で、まず手はじめに土質の異なる苗畑、造林地に木炭を施用した場合の土じょう中のCO2量の変化と苗木生長の関係を調べた。CO2の測定にあたっては、精度よりも野外で簡便に使用でき、比較指標を得ることを考え、検知管真空法を使用した。過去6年間にわたり、5県に試験地を設け、それぞれ林業用苗木の養苗と養成に木炭を土じょう中に層状、混合あるいは、苗木の周囲に施用する試験を行なった。その結果、野外でのCO2測定に対し検知管真空法の実用性が認められた。木炭施用区は対照区に比べCO2の発生が多く、これを炭種別にみれば、蓄産悪臭の消臭済炭、活性炭、ゴム樹木炭が多く、ついで、樹皮炭、鋸屑炭の順であった。また木炭施用区は一般に樹高、根元径の生長が大きく、樹勢もよい。播種床における結果でも生産本数が多く、また優良苗が多かった。したがって、土じょう中の木炭は育苗時の苗木生長に適した環境を作る効果をもつものと考えられ、とくに重粘土じょうのように構造が密で、苗木生長に対する理学的性質が不良な土じょうに施用して効果があるように思われた。

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