単板切削における刃先形状の影響 第2報

切削抵抗,単板面あらさにおよぼす刃口間隔,

刃先形状の影響

 木下敍幸

要旨

 本報では,大きくわけて次の2項目について検討した。(1)刃先形状および刃口間隔を変化させて切削した時に刃物に作用する切削抵抗,(2)主に刃先形状の異なる刃物で切削した時の単板面あらさおよび刃先摩耗量の変化,切削時に刃物に作用する切削抵抗については,切削抵抗の水平,垂直方向分力,合力,合力の作用方向,切削抵抗の変動等にわけて,それらの刃先形状あるいは刃口間隔を変えて切削した時の変化を,前報で求めたノーズバーを作用させずに切削した時の結果と比較しながら検討した。その結果,(1)刃口水平方向間隔を狭くしていくと切削抵抗の水平方向分力は増加し,重直方向分力は低下するが,垂直方向分力の低下度は一般に刃口垂直方向間隔を狭くして切削するほど大きい。(2)逃面にベベルをつけた刃物で切削した場合,ノーズバーを作用させることにより切削抵抗の重直方向分力は低下し,これにともない合力の値も低下する。(3)合力の作用方向は,ベベルをつけない刃物の場合刃口条件により大きな変化はみられないが,逃面にベベルをつけた刃物で切削すると刃口水平方向間隔を狭くしていくにつれて次第に切削方向に対して合力の作用方向は平行になる。単板の面あらさについてみると,(1)被削材の組織的な構造あるいはけばだち等切削にともなう切削面の凹凸以外の影響もあり,単板面あらさと刃口条件,刃先形状あるいは切削抵抗の変動等との明確な関連はつかめない。(2)単板切削長が長くなると,ベベルをつけない刃物による切削の場合面あらさは高くなるが,逃面にべベルをつけた刃物の場合単板切削長300m以上で面あらさには変化はみられない。面あらさと刃先の摩耗量との関連は見出せないが,この点については今後刃こぼれ,刃先最先端の形状の変化等について検討する必要がある。

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