四国地方におけるヒノキ人工林の成長解析

宮本倫仁,谷本丈夫,安藤 貴

   要旨

 四国地方の20年生,42年生,48〜50年生の施肥林を含む閉鎖した ヒノキ人工林の現存量や純生産量を求め,成長解析をおこなうと共に,これまでの報告を加えて,ヒ ノキ人工林の物質生産について総括的な検討を加えた。
 林分葉量は四国地方と他の地方との間に違いは認められない。葉量は施肥によってやや増加する傾 向が伺えた。他の地方の資料を加えて検討した結果,葉量は地位の低下と共に減少するが,1等地と2 等地の差は小さく,3等地以下では差がやや大きくなった。全資料によるヒノキ入工林の平均葉量は1 2.9±2.9t/haであった。葉量の経年変化は他の樹種と同様の傾向を示し,その最大値は35年前後で認 められた。
 林分の純生産量を検討すると,施肥は純生産量を増加させるようにみうけられた。他の地方の資料 を加えて,地位ごとの純生産量を求めると,当然ながら地位が良いほど純生産量は高い値を示した。 全資料による純生産量の平均は15.0±3.8t/ha・yrであった。地位ごとの純生産量の経年変化をみると 地位がよいほど最多の時期が早まるようであった。
 同一地位では,相対成長率と葉面積比は林齢と共に低下したが,純同化率に大きな変化は認められ なかった。施肥林の相対成長率,純同化率,葉面積比は無施肥林より高い値を示すようにみうけられ た。他の資料も加えて求めた地位ごとの単位葉重量あたりの物質生産量や葉の幹生産能率は地位が悪 くなるにしたがって低くなり,施肥によってこれらが高まる傾向が認められた。

全文情報(2,845KB)