アカマツせき悪林地におけるバーク堆肥の施用が土壌生物に与える影響

新島渓子,小川 眞

   要旨

 この研究はアカマツせき悪林地におけるバーク堆肥の施用 が土壌生物に与える影響を明らかにし,土壌生物の立場からバーク堆肥の林地施用限界量につい て検討したものである。京都府宇治市のアカマツせき悪林地において標準量(乾物として1ton/10a) のバーク堆肥を施用した場合,1年後にバーク堆肥はほぼ消失した。対照区の大形土壌動物として はヒメミミズ類,クモ類,鞘翅目および膜翅目が多かったが,バーク堆肥の施用により,ヒメミミ ズ類が減少し,他の大形土壌動物は個体数,現存量ともに増加した。ダニ,トビムシなどの小形節 足動物の個体数は堆肥施用の影響がみられなかった。バーク堆肥の連年施用3年目と倍量施用1,2年 目とには大形土壌動物の顕著な増加がみられず,施用したバーク堆肥は1年後も大半は未分解の状態 で残存していた。上記の結果から1回の施用量は乾物として1ton/10a以内とし,連年施用の場合には 3年間を限度とするのがのぞましい。土壌微生物はバーク堆肥の施用により糸状菌が減少して放線菌 が増加したが,細菌の変化は一定の傾向がみられず,全般的に微生物相はアカマツ林本来の特徴を 失いかけていた。また,施用区の硝化菌の増加は異常であった。

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