(研究資料)

コバノヤマハンノキおよびシラカンバ幼齢林の施肥試験

後藤和秋,長谷川浩一

   要旨

 東北地方の早成樹種として,一時注目されたコバノヤマハン ノキおよびシラカンバを対象に幼齢期の肥培試験を行い,10年間の成長と養分吸収におよぼす施肥 の影響と,さらに10年後の土壌の変化をしらべた。
 両樹種とも,樹高および胸高直径成長に対する肥効は植栽初期には認められたが,5〜6年以降に は小さくなった。林齢10年の時点での施肥区の乾物重量は,無施肥区にくらべて20〜26%増であっ た。林木の養分含有量におよぼす施肥の効果は,コバノヤマハンノキでは,N,PおよびCa含有量が 約40%増,シラカンバでは,N含有量が約35%増で大きかった。葉の養分比は,両樹種ともN/P,N/K 比が高かった。肥料成分中のNの吸収率はコバノヤマハンノキでは,92%と高い値を示し,シラカン バでも58%で比較的高かった。P,Kの吸収率は両樹種とも低かった。
 土壌の化学性の変化では,植栽後10年間に両樹種ともpHの低下,置換酸度の上昇,置換性Ca含有 率の低下,Ca飽和度の低下の傾向がみられ,とくに施肥区で顕著であった。このような土壌の酸性 化は,A2層まで認められた。

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