木質パネル構造に関する研究(第1報)

耐力壁の面内剪断性能に及ぼす試験方法ならびに壁長さの影響

神谷文夫,平嶋義彦,畑山男,金谷紀行

   要旨

 本報は,木構造の設計に有効な基礎資料を整備するため,耐力 壁の面内剪断性能が,試験方法の違い,壁の長さの変化によって受ける影響,ならびに開口部を持つ 耐力壁の剪断性能が盲張り部分の位置,または開口に隣接する腰壁等によって受ける影響を実験的に 検討したものである。
 実験に用いた耐力壁は,間伐小径材の枠組に構造用合板を釘打ちしたパネルで,試験方法の違いに よる検討には,日本式,ASTM式,鉛直荷重載荷方式を採用したが,他の検討に用いた方法は,すべて 載荷方式である。
 その結果,試験方法の違いによって見かけの剪断歪みγ1は影響を受けるが, γ1より壁体の回転角γ2を差し引いた剪断歪みγ 3には,γ1ほどの影響がみられないこと,γ3を ベースにした特定歪み値に対する荷重(壁長さ1m当り)は,壁長さの影響を受けないこと,および壁 が長くなると,γ1はγ3に接近する傾向があること等が わかった。
 さらに,荷重-歪み曲線は,試験法や壁長さ,歪みの選択(γ1またはγ 3)が異なっても,強い相似性を有するという知見が得られた。
 また,開口壁中の盲張り部分は,中央に位置するほど強い抵抗を発揮すること,それに隣接する腰 壁は,浮き沈みに対して補強効果を与えること等がわかった。

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