着色WPC化単板の調製

黒須博司,後藤君子,堀池 清

   要旨

 木材表面の強化と化粧性の改善を図るために,染料(12種)を溶解した メチルメタクリレート(MMA)をシナノキロータリー単板(5.0×5.0×0.2cm)に真空注入して着色WPC化単板 を調製し,かたさを測定するとともに染料の重合反応におよぼす影響を検討した。
 MMAの注入性と重合性は良好で,3つの染料が注入性を向上させ,1つの染料がMMA重合率を低下させたが, 大部分の染料はほとんど影響がなく,染料の浸透性も良好であった。MMAの重合初期において,6つの染料が 重合禁止作用を,そして2つの染料が重合抑制作用を示したが,WPC化の条件(70℃,20時間)ではMMAの重合 が完結に近いので,重合初期における染料の重合阻害作用はMMA重合率の低下にあまり関与しない。WPC化に より比重とかたさは顕著に増加した。着色WPCのかたさが無着色WPCよりも低い傾向を示すのは,染料の重合 禁止作用によると考えられる。

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