木質燃料による温水ボイラーの燃焼試験(第2報)

貯湯型ボイラーによる燃焼試験

平田利美,杉浦銀治

   要旨

 前報に続いて,木質燃料およびその小型燃焼器具の改良,開発に資することを目的として,幾種かの燃料の燃焼特性を求めた。
 燃焼特性を試験するためには燃料として,前報で使われたスギ,コナラ,オガライト,灯油が用いられた。燃焼器具として,薪と灯油の混焼可能な市販の貯湯型温水ボイラーを使った。ボイラー燃焼炉へ空気を供給する灰出口の開口率を変えて,これらの燃料を燃焼させ,前報を同じ因子を測定して,その結果を比較した。
 木質燃料の熱効率については,スギとコナラの値がほぼ等しく,オガライトのそれがこれより多少小さい。しかし,取得熱量については,コナラ<オガライト<スギの」順に大きい値を与えた。オガライトの熱効率は発煙性に大きく影響されるのに対し,スギとコナラの熱効率は主に発炎性に支配される。給湯の開始時間などからみた初期加熱性能は,オガライト<コナラ<スギの順に大きい。貯湯型ボイラーは,加熱型バイラーに比べてこの加熱性能の面では劣るが,熱効率の面ではすぐれている。
 このボイラーでは,給湯開始を急ぐときにはスギを,給湯を持続させるにはオガライトを使用することが便利である。ただ,木質燃料用の燃焼コントロールシステムを開発するにあたっては,木質燃料の多様な燃焼性を考慮する必要がある。
 また,燻薪処理したアカマツを無処理のアカマツ薪の比較を行ったが,燻薪処理によって,単位体積当たりの発熱量と取得熱量は高くなるが,発熱量は増加した。

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