(研究資料)

人工林の複層林施業に関する研究(U)

林内光環境の変動

複層林施業研究班

   要旨

 林内の光環境は,林分構造とくに林分の葉量と密接に関係する相対照度で あらわされることが多いが,同一林分にあっても林内相対照度は日変動,季節変動を示す。時刻,天候,季節な どの測定条件のちがいと相対照度の関係を,模型外分や多くの固定調査外分について検討した。天気の変化の 少ない1日の間の林内相対照皮と林外照度との関係をみると,時刻,天候,季節のちがいがあっても,いずれも 林外照度が高いほど林内相対照度は指数関数的に低減する。その低減の割合は,天候,季節にかかわらずほ ぼおなじであった。林分間の林内相対照度を比較するには,時刻,天候,季節などの測定条件をそろえることが 必要である。
 また太陽軌道の季節変化に関連して,裸地日射量を求める方法と林内日射量の変動について検討するととも に,地形や外分高のちがう帯状伐採面での日射量の計算法を求めた。
 さらに,樹種,林齢,地位,外分構造,間伐・枝打ち施業など多くの条件のちがう林分について,数年から10年 間にわたる林内相対照度の経年変動と外分条件との関係を検討した。間伐後の収量比数と林内相対照度との 関係をスギ林,ヒノキ林で求め,複層林の間伐指針に利用できることを明らかにした。また林内相対照度を平均 直径と立木密度,および平均樹高と立木密度から推定する関係式をヒノキ林について求めた。さらに多くの林分 の測定から,一般に林内柏対照度の経年変化では,林齢が若齢であるほど,地位が高いほど,間伐・枝打ち直 後ほど変化が早いこと,スギ林ではヒノキ林より変化が早いこと,過密な林分や疎開した林分よりも,中間的にう っぺいした林分で変化が早いことなどを明らかにした。

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