柴田順一
林業用架空線集材装置の主索として用いられている。6×724mm（JIS１号）ワイヤロー プの小角度曲げ疲れ試験を行った。実験の方法は前報（林試研報213号「林業用鋼索の疲労に関す る研究 第2報」で得た結果にもとづいている。試験条件は引張力12,000㎏（条件1）および8,000㎏（条 件2），積荷重は1,500㎏であり，ワイヤロープが受ける最大曲げ応力はそれぞれの条件で68.22㎏/m m2および83.55㎏／mm2である。寿命の判定は1より長さの間に4本の素線 断線が生じた時点とし，それまでの走行車輪の往復回数を寿命値とした。疲れ試験の試料の総数は 101本であり，およそ次のような結果を得た。
疲れ寿命試験における寿命値の平均と標準偏差は，条件1では12,955および2,140であり，条件2では10,342および1,933であった。寿命の確立密度関数として，対数または真数正規分布をあてはめることができた。寿命に達したワイヤロープの引張り強さ（残留強さ）と切断エネルギー（残留エネルギー）を新品時のそれと比較すると，残留強さはおよそ70～90％，残留エネルギーではおよそ19～535％であった。残留強さと残留エネルギーの間には高い相関関係が認められた。疲れの進行にともなう素線断線の増加傾向が明らかになったが，初期断線の発生時期は寿命のおよそ75％の時点であった。
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