木質平面材料の構造的性能に関する研究

平嶋義彦

   要旨

 本研究は合板,パーティクルボード,繊維板,硬質木片セメント 板などの木質平面材料の力学的特性を究明するとともに,これらで構成したストレストスキンパネル やボックスビームなどの構造部材の性能を調べ,さらに面材をシージング材として用いたダイアフラ ム構造について論じたものである。得られた主な成果は次のとおりである。
 (1)合板のような直交異方性板が,中央集中荷重や等分布荷重を受ける場合のたわみに関する微分方 程式から,厳密解を誘導した。そして力学的性質を異にする各種の平板を用いた実験結果と,ここに 誘導した解とは良く一致することを確かめた。
 (2)合板をフランジに用いたストレストスキンパネルの曲げ問題について,有効幅の定義を新たに与 え,その妥当性を実験で確かめ,有効幅比算出図を作製した。
 (3)合板ウェブを用いた実大のボックスビームの曲げ試験を行った。その結果,材料の許容応力度は 妥当であり,またこの許容応力度を用いた設計方法も的確なものであることが検証された。
 (4)合板その他木質平面材料を釘打ちした壁,床,屋根などのダイアフラム構造体を加力した場合の 変型を求める式を導き,実験で検証した。
 (5)ダイアフラム構造システムを適用した実際の建物およびこの建物を構成する整列および屋根の加 力試験を実施した。その結果,剛性に関する直交壁効果は現れないこと,水平剛性,捩り剛性は,建物 を構成する壁列単体の試験結果から計算した値と良く一致すること,間仕切壁に加わる力の割合をダイ アフラムの剪断剛性との関連で導いた計算式は,実験値と良く一致することなどが確かめられた。

全文情報(5,476KB)