(研究資料)

クヌギ林のほだ木用原木生産量の予測

宮本知子,都築和天,吉田 実

   要旨

 徳島果三好地域林業振興のための診断に当たって,主要作目である シイタケ生産に必要なクヌギほだ木用原木の地域内の供給可能量を予測する必要が生じた。従来,生産 予測に用いられてきた広葉樹一般の車幹材積表,収穫予想表は,当地域内のクヌギ林に対して適合生が 低いため,幹材積表の作成ならびに原木生産量予測表の作成を行った。
 幹材積表は,202本の標本木について1 m間隔の区分求積で求めた幹材積について,立木幹材積表作成 に用いられた3種の材積式を適用したが,Australian式が最も推定精度が高いので同式を採用して作成し た。収穫予想表は,当地域においてはクヌギ林の生育環境,生長傾向にほとんど差異がないので,地位 区分を行わず,16個の標本林分について,林齢と林分構成因子,林分構成因子間の関係を相互に検討し, 生長法則に矛盾しないよう修正して,その構成数値を求めた。直径階別本数は,正規分布曲線,直径階 別樹高はNaslund式を用いて林齢別に推定した。原木の末口径は,地上1mの位置の直径を底辺,梢端を頂 点とする2等辺三角形部分とその外側の3次の多項式で求められる部分とに分けて推定した。最後に当地 域の商習慣の便のため原木材積を生重量に換算し,利用可能な10年から20年生林分について,原木末口 径別の本数,材積,重量による予想表を作成した。

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