(研究資料)

木造家屋における鉄釘の劣化調査 第6報

柏市立第五小学校校舎

今村浩人,木口実,大黒昭夫    

   要旨

 千葉県のある木造校舎の下見板張り外壁における釘の劣化状態を調査した。調査の目的 は,釘の劣化を調査することにより建物の経過年数と内外の環境が建物部材の劣化状態に及ぼす影響を検討することである。 この校舎はL字形をし,建設年度は部分により昭和31年,34年および38年の3年度に分かれている。したがって外壁の経過年数 も28年,25年および21年である。釘(長さ50o)の劣化度は目視による5段階法によった。釘の劣化度は,経過年数の21年で平 均4.4であり,25年(平均3.9),28年(平均3.9)のものより大きく,経過年数よりも壁の方位や植込みの状況などによる環境 条件の影響の方が大きいようである。便所の外壁,下見板と縦桟の入隅部および雨どい付近の外壁では,内外からの水によっ て釘は著しく劣化し,木材の腐朽もみられた。下見板の含水率と釘の劣化度の関係は,28年および25年経過した部分では,類 似した直線関係がみられるが,21年経過した部分では,密な植込みなどの悪い環境により劣化度が4〜5に集中するため明確な 関係がない。1階,2階の教室および廊下におけるフローリング材の釘の劣化度は2.5〜3であり経過年数の影響はみられない。

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