(研究資料)

マツノザイセンチュウによるアカマツ枯損木からのボード類の製造

繊維板研究室

   要旨

 マツノザイセンチュウによるアカマツの枯損被害は甚大で,昭和53年度は207万m3に 達した。防除の第一歩は,被害林木を林地内に放置しないことにあると考え,被害本の利用,とくにボード類への利用の道をひらくため,昭和54年4月から ボード類の製造実験を行った。本実験は「松くい虫被害対策特別措置法6)」の特別伐倒駆除・伐倒駆除の破砕基準の作成に寄与したものである。枯損後一 年経過材(W1)は,チップ化収率の低下,材の劣化による化学的成分の変化も比較的少なく,製造したボード類の材質も良好であっ たので,一年経週材は充分利用可能であることがわかった。三年経過材はチップ化収率が著しく低下し,水可溶物の増加が認められ,劣化が進行していた。 また,上記実験におけるチップ化によって,蛹室に棲息中のマツノマダラカミキリの幼虫(羽化前の各段階の幼虫)は,壊死することが観察されたので, チップ化による殺虫効果を調べた。ついで、加熱処理,蒸気処理による殺虫効果も調べた。その結果,チップ化及び蒸気処理に殺虫効果が認められた。これ らの結果から判断すると,枯損後マダラカミキリの羽化までの期間に材をチップ化し,ボード類の原料として利用する方式が有効である。

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