(研究資料)

キリのてんぐ巣病検定用台木の養成方法

飯塚三男

   要旨

 キリのてんぐ巣病は,現段階では経済的に,しかも簡易に防除する適当な方法がない,大 変厄介な病気である。しかも,この病気に低抗性が有るか無いかを検定するための人工接種は,今のところ罹病木に接木する 以外に適当な方法がない現状である。そこで接種に必要な接木用の罹病台木を多数,緑枝挿しによって確保するための養苗試 験を行った。
 大量の挿木苗を作るためには,多くの挿穂が必要となる。その場合挿穂当たりの芽数が少なくてすめば,同じ母枝から多く の挿穂が得られる。そこで1芽穂と2芽穂との比較を行ったところ,1芽穂が2芽穂に劣らない活着と生長を示すことがわかった。 さらに,萠芽後間もない時期に挿しつけ養苗したものには,炭そ病などの被害を受けない,てんぐ巣病だけに罹病した苗木が 得られることもわかった。また,挿しつける前に葉を摘み取ると,ほとんどの挿穂は,活着せず,枯死することが明らかとな った。

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   −林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
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