南洋材乾燥スケジュールの類型化

久田卓興,佐藤庄一,鷲見博史

   要旨

 木材の人工乾燥では材を損傷すくなく,できるだけ短時間で乾燥するため,樹種や材種に 応じて各種の温湿度条件の組み合わせ(乾燥スケジュール)が適用されるが,その形式はスケジュール作成者により必ずしも 一定ではない。そのため本報ではこれまでに取り上げた南洋材約60樹種の乾燥スケジュールを類型化することにより,標準的 なスケジュールパターンを決定した。類型化に際しては主成分分析法を応用し,乾燥スケジュールを乾球温度スケジュール, 乾湿球温度差スケジュール別に各25種類に分類して,これに対応する形で同数の乾燥スケジュールを定めた。
 類型化スケジュールの適用法に関しては,あるパターンの乾燥スケジュールが類型化スケジュールのどれに最も近いかを探 す方法として,1)スケジュールパターンの作図による方法,2)数値計算による方法,3)類型化のためのチャートを用いる 方法の3つを示した。また,乾燥スケジュールが未知な木材に対して,類型化スケジュールを適用する方法についても検討し, そのための計算式を示すとともに,類型化チャートを作成した。これは小試片による急速乾燥試験にもとづいて,適正とされ る乾燥スケジュールの類型番号を求めるもので,実大材に対する乾燥試験条件の設定や,乾燥現場における乾燥スケジュール の決定に役立つものである。

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   −林業試験場研究報告−(現森林総合研究所)
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