集材機運転作業環境に関する基礎的研究(第1報)

−集材機運転手の労働負担と操作性に対する関心度−

豊川勝生

   要旨

 本研究は,集材機と運転手の適合の問題,つまり集材機の使いやすさ,取り扱い性の良否を 考察したものである。人間−機械系の最良な適合のためには,操作に必要な情報が適正に運転手に伝達され,機械が適正に運転手 の指令どおり動くことが必要となる。このような系を「情報系」,「操作系」,「作業環境系」で,また,機械系は機械性能から 「作業能率系」,「移動性能系」,「制動性能系」で成立していると考えた。運転手の集材機に対する改良要望調査結果をこれら の系で分類すると,集材機の取り扱いに分類される要望がかなりあった。集材機運転手の作業時の心拍数分析では,集材機運転手 の労働強度は動的筋作業の評価で低い部類に入り,作業工程では「横取り」,「実搬器走行」工程で労働強度が高かった。疲労自 覚症状調査では,身体各部の局所的疲れを示す項目で訴え率が高く,1日の疲労がやや大きい作業と判定したが,疲労の蓄積はみ られなかった。また,人間工学的チェックリスト調査を行い,その改良要望の高い具体的な項目から,主な項目として11項目に集 約した。この項目に対する集材機運転手の3段階評価の関心度調査では,関心度の高い項目として振動,騒音,視野,座席,操作 器具があげられた。さらにこの調査結果を6因子に集約,この6因子と集材機機能との関連分析から,運転手は使いやすさでは馬力 の大きい集材機を,振動,騒音関連では空圧操作のブレーキを好むことが解明された。

全文情報(1,796KB)

−森林総合研究所研究報告−
森林総合研究所ホームページへ