木質材料から放散するホルムアルデヒド気中濃度の予測

−デシケータ法,チャンバ法及びパーホレータ法の比較−(英文)

井上明生,小野拡邦,千葉保人

   摘要

 パーティクルポードから放散するホルムアルデヒド(FA)を3種類の方法,すなわち,日本 工業規格(JIS A 5908)で規定されるデシケータ法(D値),英国規格(BS 5669)で規定されるパーホレータ法(P値),及び チャンバ法(FA気中濃度)により測定した。D値及びP値に対する材料の履歴の影響を調べた。また,FA気中濃度に対する換気量, 材料表面積,チャンバ容積及び材料の履歴の影響を調べた。
 D値はP値よりも材料の履歴による変化が大きく,そのため,P値とD値との相関関係も材料の履歴により変化した。密閉状態の 材料のP値は,開放状態で7〜15日間養生した材料のD値の6〜8倍であった。材料のFA放散特性が一定のとき,藤井らにより示され た理論式は換気下のFA気中濃度の挙動をよく示していた。すなわち,材料のFA放散特性が一定のとき,気中濃度に影響する唯一 の因子はQ/S(換気量/材料表面積)で,チャンバ容積は直接的な因子ではなかった。なお,FA放散特性は材料の履歴により変化 し,また,温度及び湿度により変化すると考えられた。D値と西ドイツのETB基準で測定されるFA気中濃度(C値)との間に次式, C=0.158D+0.017の関係が得られた。また,FA気中濃度に影響する諸因子を考慮して,D値より種々の条件のFA気中濃度を予測す るための換算式を提案した。

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−森林総合研究所研究報告−
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